カニクイザルを用いた、慢性心筋梗塞モデルに対するiPS細胞由来心筋細胞の自家移植実験を計画している。 2017年度、2018年度に引き続き、カニクイザルiPS細胞へのGCaMP遺伝子導入および心筋分化誘導を行っている。 遺伝子導入については、CRISPR/Cas9を用いた安定した遺伝子導入効率が得られるようになった。しかしながら、導入遺伝子による蛋白発現が導入細胞で得られず、遺伝子挿入部位、挿入遺伝子の調整を再度行う必要が生じた。本年度は遺伝子導入用プラスミドの再構築を行い、カニクイザルiPS細胞に遺伝子導入を再実施、予定通りの遺伝子導入を得られた。 心筋分化誘導については、iPS細胞の性質がヒトiPS細胞と若干異なることから、 分化誘導方法の再検討を引き続き実施している。誘導方法(使用サイトカイン、低分子化合物)は確立したものの、分化誘導効率が低く、現在細胞移植に必要な量を確保するためのより効率的な条件を検討している。 遺伝子導入は終了しており、効率的な心筋分化誘導法が整い次第心筋を作成し、速やかに動物実験を開始する予定である。 動物実験については、心筋梗塞モデルの作成、CTおよびエコー検査や血液検査など、必要な機器については準備終了しており、また動物への手術手技についても 手技を確立しているため、動物実験以降はスムーズに計画の遂行が可能であると考えている。
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