大動脈瘤形成マウスの瘤に関する組織学的検索を行った。ApoEノックアウトマウスに対して皮下包埋ポンプを用いてAngiotensinの持続投与を行い、腎動脈上に動脈瘤形成を確認した。組織学的検索を行い、対照群に比して中外膜へのCD68陽性細胞(マクロファージ)の浸潤を多数確認した。 マクロファージについてはRAW264.7を用いて、LPS刺激により炎症促進型へ誘導した。RT-PCRにてM1マクロファージのマーカーであるiNOSの上昇を確認した。一方で、M2マーカーであるArg-1に変化はなかった。動脈瘤の進展初期における、炎症細胞の浸潤が動脈瘤形成に影響を及ぼすと考えられたため、マクロファージから放出されるエクソソームの影響を検討した。上記細胞よりExoquickによりエクソソームの採取を行った。採取されたペレット量が極めて少量であり、エクソソームを確認するためのタンパク量が確保できず、採取された物質がエクソソームであることを確定することは困難であった。採取量や採取法のバリデーションを検討している。 また、文献より瘤化した大動脈では中膜の破壊を伴うことが知られており、その構成要素である平滑筋細胞の変化についても並行して検討した。ヒト血管平滑筋細胞(HAoSMC)に対してAngiotensin刺激により増殖型への形質変化を確認した。Western blottingにより増殖型マーカーであるSmembの発現を確認した。マウス動脈瘤切片における平滑筋細胞の形質変化についても検討中である。また、増殖型へ変化したHAoSMC中のAngiotensin濃度依存性のDNMT1タンパクの増加を認め、DNAメチル化との関連も示唆された。
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