研究課題/領域番号 |
17K16600
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
島田 亮 大阪医科大学, 医学部, 非常勤医師 (60795079)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | シルクフィブロイン(SF)シート / 慢性心筋虚血 / 血管新生 / 治療 / ペプチド / 塩基性線維芽細胞成長因子 |
研究実績の概要 |
既報で用いたシルクフィブロイン(SF)シートは臓器貼付には不適切な物性であったが、これを基盤として物性を改良しペプチドの結合が可能な工夫を加えることに成功した(OSF)。SFの架橋構造は、SF分子鎖中の繰り返しドメインに周期的に存在するTyr残基に対し、酵素反応による酸化的架橋を施した。 得られたOSFは固体NMR測定により、凝集構造であるβ-sheet構造成分の減少と水分子との相互作用を有するrandom coil成分の増加が確認された。これにより含水性試験では、OSFフィルムはSFフィルムより有意に含水率が上昇し、水中では酵素濃度依存的にヤング率が低下したことから、血管新生シートとして臓器貼付に適した物性を得た。 上記OSFフィルムへのヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の接着は良好であり、優位な細胞増殖が得られた。ともに有意な増加を示した。現在では、血管内皮細胞の線維芽細胞成長因子(FGF)受容体と特異的に結合する機能性タンパク質をOSFフィルムに埋包させた除放材料の作成条件について検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、OSFフィルムの各種条件検討(酵素量、酸化反応条件の最適化、フィルム形成法等)に時間を要した。 OSFフィルムに機能性蛋白質またはペプチドを結合、除法させる機能性フィルムの作成が出来なかった。このためビーグル犬を用いた慢性虚血心筋モデル作成が出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
血管内皮細胞の線維芽細胞成長因子(FGF)受容体と特異的に結合する機能性タンパク質をOSFに結合・埋包させた除放シートの作成条件についてin vitroでの検討を進める。ビーグル犬に限らず、慢性虚血心筋を得られる動物種と作成手段を検討し安定したモデル作成を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
臓器への貼布が可能な物性と機能性蛋白またはペプチドが結合可能な物性を合わせ持つシルクフィブロインの調整に時間を要し進められず、動物モデル作成分の予算執行がなかった。この残額は次年度の動物モデル作成費として使用する。
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