研究課題
①マウスモデルをにてCDDP非投与時/投与時の癌関連間質細胞(CAF)のGas6の発現を比較した。GFPmouseにLewis lung carcinoma(以下LLC)を移植し、14日目に腫瘍を酵素分解してCAFを分取し、RT-qPCRにてGas6の発現を解析した所、CDDP投与群のCAFのGas6の遺伝子発現は、非投与群に比して有意に高かった。②肺癌切除検体より線維芽細胞を継代純化不死化しCAF細胞株を樹立した(LCAFhTERT)。化学療法による腫瘍内の血流低下がGas6の発現制御に関与していると仮定しPrimary culture CAF及びLCAFhTERTを血清飢餓状態で培養すると、Gas6の遺伝子発現の有意な上昇を認めた。Migration assayにて、Axl陽性肺癌H1299の遊走能はGas6により亢進し、Axl特異的inhibitorにより減弱した。LCAFhTERTの培養上清はH1299の遊走を亢進し、LCAFhTERT のGa6をKDするとその効果は減弱し、Axl特異的inhibitorはその効果を阻害した。③術前療法後肺切除を行った肺癌69例を対象に、Axl及びGas6の発現を免疫染色にて検討した。Axlは主に癌細胞に発現し、37例で陽性であった。Gas6は癌細胞にも間質にも発現が認められ、stromal Gas6は57例で陽性であった。Axl陽性例は全例stromal Gas6陽性であった。Axl陽性(かつstromal Gas6陽性)群(n=37)は、Axl陰性かつstromal Gas6陰性群(n=12)に比し、有意に5年無再発生存率が不良で(22% vs 51%, p=0.04)、再発形式は遠隔転移が多かった。以上より、肺癌において抗癌剤治療によりCAFのGas6発現が上昇し、CAF由来のGas6が癌細胞に作用し遊走を促すことが示された。
2: おおむね順調に進展している
計画通り概ね順調に実験が進んでいる。
これまでの実験で化学療法中に癌関連間質細胞がGas6の分泌を介して癌の悪性化に関わることが示された。次に治療可能性を追求し、前臨床研究としてマウスモデルを用いてGas6-Axlシグナルを阻害抗体や分子標的約薬を用いて阻害する実験を計画している。また、肺癌切除検体を用いて化学療法によって変化し癌の悪性化に関わる分子を探索する。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)
Scientific Reports
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10.1038/s41598-017-10873-2.
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