研究課題/領域番号 |
17K16615
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
柴野 智毅 自治医科大学, 医学部, 助教 (10648900)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 転移 / 微小環境 |
研究実績の概要 |
(1)in vitroにおける浮遊細胞株の動向に関しての検証。(2)薬剤感受性に関しての検証。 A549、H441、LC-2/adなどの様々な細胞を低接着培地で培養し、その動向を観察した。浮遊環境下ではがん細胞の数は減少するが、やがて一定数で状態が安定し、数月後に再増殖を始める。本研究によって、再増殖までの期間が早い細胞(A549, H441など)と遅い細胞(LC-2/ad, H2009. PC3など)の存在を確認することができた。また浮遊細胞株を用いて薬剤感受性実験も行った。dormancyの状態においてがん細胞の薬剤感受性が低下するとい報告がなされているが、我々の検証では浮遊細胞の薬剤感受性は接着細胞と差は認めなかった。低接着培地での培養は細胞数のカウントが正確に行えず、また培地の交換により細胞数のロスが発生するため、薬剤感受性試験に関しては正確に行えていない可能性が高く、さらなる検証が必要であると考えている。 (3)in vivoにおける転移傾向の検証 本研究が認証されてから10種類の細胞をマウスの左心室内に投与し、転移傾向を観察してきた。浮遊環境下での再増殖までの期間が早い細胞はマウスへ接種後に転移を形成するまでの期間が早く、長い細胞は転移を形成するまで時間がかかり、in vivoでのがん細胞の転移傾向は低接着培地での再増殖までに要する時間と概ね同調している傾向にあった。転移傾向の弱い細胞株がdormancyのモデルとなりうる細胞株と考えており、これらの細胞を用いた転移誘発実験を現在遂行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vitroにおいて、低接着培地で培養する細胞株は培地交換の際に細胞ロスが避けられず、どうしても短期培養下での検証実験しか行えていない。そのため予想していた結果とは異なる結果が得られている。 低接着培養下での正確な細胞数の把握が今後の課題であり、顕鏡でのカウントや新たな機器の導入を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroにおいては低接着培養下での正確な細胞数の把握が今後の課題であり、顕鏡でのカウントや新たな機器の導入を検討している。また、in vivoにおいてはがん細胞の転移能の評価が課題であると考えている。IVISを用いた経時的な評価を行っているものの、発光量と転移能は必ずしも一致していない。最終的には屠殺解剖した組織で検証しているが、より正確で厳密な評価を行うための方法を検証している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当教室ですでに保有していた試薬を使用できたこと、また研究で用いたマウスの数が予定していた数よりも大幅に少なくなったことが理由である。
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