本研究では画像診断による脳動脈瘤破裂点の予測手法を確立するために、MRIを用いた脳動脈瘤の破裂点予測、CFD による脳動脈瘤の破裂点予測の検討 (ともに後向き研究)を平行して開始した。脳動脈瘤破裂部位の術前予測の手法確立により、くも膜下出血症例で破裂部位の情報を術前に低侵襲的に得ることができる。これは手術戦略を考える際に大変有用な情報であり、術中破裂の合併症の回避にもつながる。また多発動脈瘤症例でどの動脈瘤が出血源であるか形態学的特徴からは判断できない場合も有用となり、迅速な出血源の処置につながる。したがって安全な手術を行う上で極めて有用かつ実践的であり、手術成績の向上にもつながりその臨床的意義は大きい。 平成29年度は主に患者データの収集を行った。術前に施行した造影 MRI 画像データをDICOM 形式で PC へ移した。さらにこのデータを用いて瘤壁造影効果の定量評価を行った。画像解析ソフト Amira 5.3(VSG) を用いて得られた造影前後の 3D データを coregistrationし造影効果を評価した。瘤壁の造影領域に関心領域を置き、造影性の指標となるwall enhancement indexおよびcontrast ratio against the stalkを算出した。 CFD解析のために 術前に施行した 3 次元脳血管撮影及び MRI 画像により脳動脈瘤に関する十分な解像度の 3 次元 DICOM データを取得、閾値設定によらない変曲点を利用した形状抽出法により安定したモデルを構築した。 当初の予定通り150例の動脈瘤患者からデータが得られた。 以上が平成29年度までに行った研究内容である。 平成30年4月より研究担当者 (代表者)が所属機関を退職することとなったため、本研究は廃止申請することになった。平成30年度の本研究にかかわる研究実績はない。
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