研究課題/領域番号 |
17K16623
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤川 真由 東北大学, 大学病院, 助教 (80722371)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | てんかんモニタリングユニット / 心理社会的評価 / 側頭葉てんかん / 記憶障害 / 就労 / QOL |
研究実績の概要 |
本研究は、てんかん外科の術前精査であるてんかんモニタリング入院精査の、心理社会的評価と介入効果の解明と、外科適応の早期決定や術後社会的転帰への影響を実証することを最終目標としている。 平成29年度末までに、160名超のてんかん患者の臨床情報、画像データ、認知機能、精神症状、QOLを含む心理社会的データを収集・解析し、研究結果を論文や学会において発表した。また、心理社会的評価尺度の中で日本語尺度としての妥当性が未検証なものについてはその解析も行なった。術後社会的転帰アウトカムに使用する就労データの予備文献レビューも行なった。 ・入院精査を行なった内側側頭葉てんかん患者150名を対象に、LASSO回帰分析を用いて、予測因子(てんかん関連臨床データ、認知機能検査結果、精神症状評価尺度、心理社会評価尺度)とアウトカム因子(QOL)の関連性を解析した。結果、それぞれ全般性QOLは抑うつの影響を、社会生活機能QOLは発作頻度と抗てんかん薬数、抑うつの影響を、そして認知機能関連QOLは言語性記憶障害と処理速度、抑うつの影響が示された。 ・心理社会的評価尺度であるEpilepsy Stigma Scaleは英語版の原著者からの許可を得て、日本語版を作成した。当院外来のてんかん患者218名を対象に、尺度の妥当性と信頼性が確認された。 ・成人てんかん患者の重要な治療後の社会的転帰アウトカムの一つに就労がある。就労データ収集のための文献レビューを行った結果、就労率のみの報告頻度がもっとも多く、就労内容や離職原因など就労の質に関する報告が少ないことが明らかになった。この点を、今後のアウトカム因子に起用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
てんかんモニタリングユニットにおける入院患者のてんかん関連の臨床データは順調に収集できており、概ね使用する臨床データや解析方法の方向性が定まってきた。多施設コホート研究に向けて共同研究予定である機関からの承認も得た。現在、倫理委員会申請を行なっているため、来年度には共同研究が開始される見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度と同様、引き続きデータ収集、登録を行う。共同研究機関との連携により収集データ件数は大幅に改善できる見込みである。今年度の3件の研究成果を論文化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費と人件費・謝金が予定より低額であったため残金があるが、当該年度の研究に支障は出なかった。翌年度は、共同研究を含めさらなるデータ収集や解析に人材が必要なため、当年度の繰越金をその人件費に当てる予定である。
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