研究課題
平成30年3月時点で脳動静脈奇形70例・硬膜動静脈瘻14例の医用画像データを取得した。CT-like imageデータの治療計画ソフトウェアへのインストール法に関しては、我々はこの問題がDICOM情報の齟齬に由来していると考え、ガンマプランに統合可能な画像のDICOM情報をコントロールとしてCT-like imageのDICOM情報を読み比べ、CT-like imageの“Modality”を司るDICOMタグを“XA”から“CT”へ変更するとインストール可能になる事を発見した。CT-like imageデータの定位的画像へのレジストレーション法に関して、CT-like imageはCTのように空間解像度が高くコントラスト解像度が低い撮像法であり、高コントラスト解像度のMRIとは根本的に異なる。当初我々はCT-like imageのレジストレーションに定位的MRIを用いるよう試みていたが、本手法では多種ソフトウェアを経由する必要があり、通常のガンマナイフ治療のプロセス(CT・MRIを治療前日に、定位的画像と血管撮影を当日に施行し、1時間程度の治療計画時間を挟んで治療を行う)を考慮すると煩雑で実用性に欠けると考えた。このため根本的に異なるMRIを位置合わせのベースとするのでなく、定位的CTをベースとしたレジストレーション法を考案するに至った。本法では複雑なソフトウェアを経由する必要が無く、ガンマプラン内装の(∴薬機法承認済の)自動位置合わせ機能を用い、頭蓋骨を基準とした高精度イメージレジストレーションが行える。以上の内容はtechnical reportとしてジャーナルに投稿中であり、また本手法を用いた低侵襲的なガンマナイフ治療の提唱を2017年の定位放射線治療学会で報告し、機関誌『定位的放射線治療』22:23~33, 2018に掲載された。
2: おおむね順調に進展している
予定よりも早いペースでサンプルを収集する事が出来、また当初の二大課題であった『CT-like imageデータの治療計画ソフトウェアへのインストール法』ならびに『CT-like imageデータの定位的画像へのレジストレーション法』を既に確立する事が出来、それらを踏まえた学会発表、論文作成を進めることが出来た。また早期に経験した23症例に関して、本手法に基づく高精度治療計画の臨床的有用性の検討を行い、その内容に関して2018年3月に行われた国際ガンマナイフにて口演発表を行うことも出来た。
サンプル収集は引き続き行っていく。本研究内容は既に手法としては確立されたため、今後はこその臨床的貢献度を評価していく必要がある。これに関しては先述の如く国際ガンマナイフ学会にて早期報告を行ったが、三次元回転血管撮影画像を統合することによって過剰照射・過小照射をともに減らし、よりコンフォーマルな治療計画に貢献する可能性が示唆された。今後、この発表内容に関して更に検討を重ね、治療計画上の貢献度として1篇の論文作成を行う。一方本手法の実際の臨床的有用性の検証に関しては、ガンマナイフ治療では3年程度の後に治療効果が発揮されることを考慮し、ある程度まとまった数の症例に対する治療が完了してから3年程度経過した後に閉塞率や有害事象発生率の観点から後方視的比較検討を行っていく必要がある。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
定位的放射線治療
巻: 22 ページ: 23-33