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2017 年度 実施状況報告書

IDH変異型グリオーマにおける表面抗原を標的とした術中療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K16632
研究機関新潟大学

研究代表者

棗田 学  新潟大学, 脳研究所, その他 (00515728)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードGlioma / グリオーマ / 神経膠腫 / IDH / 免疫療法 / 腫瘍イメージング / 術中療法
研究実績の概要

グリオーマに対する術中療法として近赤外線光線免疫療法(NIR-PIT)という腫瘍細胞の表面抗原を標的し腫瘍細胞のみを破壊する抗原特異的免疫療法に着目した。腫瘍特異抗体を蛍光標識することで術中の残存腫瘍の評価にも利用できるというメリットもある。近年、グリオーマの網羅的遺伝子解析によりWHO grade 2/3の神経膠腫は高率にイソクエン酸脱水素酵素(IDH)変異を有し、グリオーマ形成と深く関わっていることが解った。IDH変異型グリオーマに特異的に発現する表面抗原を同定し、抗原特異的免疫療法の実現化を目指す。
グリオーマで認められるIDH1変異は細胞質に局在するとされているが、IDH1 R132H変異を認識するペプチドワクチンが開発され、MHCクラスII反応により、腫瘍細胞の表面にIDH1変異蛋白が発現する可能性が出て来た。しかし、グリオーマ細胞が本当に変異蛋白を抗原提示しているか疑問が残る。
平成29年度はフローサイトメトリーを用いて、IDH変異型グリオーマ細胞株であるBT142及びMGG152に様々なIDH1R132H抗体(HMab-1, HMab-2, H09, MsMab-1)が抗原抗体反応を起こすかどうかを確認した。陽性率はいずれも10%前後であったが、HMab-2及びMsMab-1は2細胞株共に陽性細胞を認めた。一報でIDH1野生型の細胞株(HSR-GBM1, X02GB)は陽性細胞を認めたなかった。この結果より、一部のIDH1R132H変異グリオーマ細胞で細胞表面に変異蛋白が検出されることが解った。しかしながら、その陽性率からは、全ての変異細胞をターゲットできる訳ではないことが解り、さらなる制度の向上がもとめられると思われた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定通りフローサイトメトリーの実験が遂行できたが、期待したほど陽性率は高くなかった。今後、以下の方法でIDH変異グリオーマ細胞における、より特異的な表面抗原を探す。

今後の研究の推進方策

より強力な抗原抗体反応を目指し、抗体作成会社に依頼し、IDH1 R132Hペプチドワクチンの論文(Shumacher et al., Nature Communications, 2014)の配列を参考に新しいIDH1 R132H変異ペプチド抗体を作成する。それでもフローサイトメトリーによる陽性率が低い場合はIDH1 R132H変異を有する細胞株、野生株の細胞株の膜蛋白を、膜蛋白抽出キットを用いて抽出する。それぞれの細胞株の膜蛋白でプロテオミクス解析を行い、蛋白の比較を行う。プロテオミクス解析から上がってきた膜蛋白の候補からまず、IDH変異細胞株では高発現で野生株では発現が低いものを選ぶ。得られた候補に対する抗体のうち、最適なもの(抗体A)を一つ選ぶ。既存の抗体がない場合は、抗体の作成を依頼する。妥当性を確認するために、qPCRを用いてmRNAレベルでの発現を解析する。さらに、脳内の分布を見る必要があるので、IDH変異型グリオーマの症例、てんかんの症例をその抗体で免疫染色し、腫瘍内、腫瘍周囲脳組織、てんかん症例の組織での発現を解析する。IDH変異腫瘍細胞では強発現し、IDH野生型グリオーマ細胞や正常脳組織では発現しない候補を絞り込む。さらに抗体とIR700複合体を作成し、NIR-PITのin vitro, in vivoの実験を行う。

次年度使用額が生じた理由

前年度に購入した試薬の発注が遅れたため、次年度に繰り越して支払います。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Reliable diagnosis of IDH-mutant glioblastoma by 2-hydroxyglutarate detection: a study by 3-tesla magnetic resonance spectroscopy2018

    • 著者名/発表者名
      Manabu Natsumeda, Kunio Motohashi, Hironaka Igarashi, Takanori Nozawa, Hideaki Abe, Yoshihiro Tsukamoto, Ryosuke Ogura, Masayasu Okada, Tsutomu Kobayashi, Hiroshi Aoki, Hitoshi Takahashi, Akiyoshi Kakita, Kouichirou Okamoto, Tsutomu Nakada, Yukihiko Fujii
    • 雑誌名

      Neurosurgical Review

      巻: 41 ページ: 641-647

    • DOI

      10.1007/s10143-017-0908-y

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Advances and Challenges in Assessing 2-Hydroxyglutarate in Gliomas by Magnetic Resonance Spectroscopy: A Short Review2018

    • 著者名/発表者名
      Manabu Natsumeda, Hironaka Igarashi, Kunio Motohashi, Yuji Suzuki, Masaki Ohkubo, Kouichirou Okamoto, Masaki Watanabe, Tsutomu Nakada, Yukihiko Fujii
    • 雑誌名

      Neuropsychiatry (London)

      巻: 8 ページ: 739-744

    • DOI

      10.4172/Neuropsychiatry.1000536

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] IDH変異グリオーマを標的とした 術中イメージング法・治療法確立の試み2017

    • 著者名/発表者名
      棗田 学
    • 学会等名
      新潟PDT研究会
  • [学会発表] 臨床医が帰国後に研究を続けるためにとった術2017

    • 著者名/発表者名
      棗田 学
    • 学会等名
      57th Meeting of Japanese Society for Science in Baltimore
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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