中枢神経系原発悪性リンパ腫 (以下PCNSL)におけるTOPK阻害剤の効果を評価すべく、臨床データからTOPKの発現量と予後に相関があるかを検討した。結果、リン酸化TOPKの発現量はoverall survival (OS)とprogression free survival (PFS)と強く相関していることが判明した。 またPCNSLの予後を予測する因子として、年齢 (60歳以上)、血清LDH値、髄液タンパク質量、深部病変の有無があがり、また近年には組織中のCD68やHGFの発現量、髄液中IL-10値と予後の関連が報告されている。しかしいずれの因子のOdd’s ratio (OS)、Hazard ratio(HR)も比較的低値で予測因子としての有用性はそれほど高くない。そこでさらに統計学的に解析をしたところ、リン酸化TOPKの発現量とOSおよびPFSのHRはこれまで報告されている因子よりも高い精度を有していることがわかり、新たな見解を加え日本分子脳神経外科学会および日本脳神経外科学会に研究結果を報告した。また本結果はNeuropaghologyに投稿し現在審査中である。 次に、既存のPCNSL細胞株を用いて、PCNSL細胞株でのTOPKのRNA量をRT-PCRにて評価を試みた。しかし既存のPCNSL細胞株 (TKおよびHKBML)ではRNAはごくわずかにしか発現しておらず、中枢神経系原発悪性リンパ腫細胞を皮下に移植したマウスxenograft modelの作成には至っていない。
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