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2017 年度 実施状況報告書

神経膠腫におけるエクソソーム解析とNegr1による新規治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K16635
研究機関金沢大学

研究代表者

筒井 泰史  金沢大学, 附属病院, 医員 (00722042)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード神経膠腫 / エクソソーム / マイクログリア
研究実績の概要

現在、標準とされる集学的治療でも予後が極めて悪いとされる悪性神経膠腫の革新的な治療の開発を目的とし、悪性神経膠腫とエクソソームの関係性について研究をおこなった。
まず、当研究室にて同定したNegr1(neuronal growth regulator 1)によるマイクログリアへのエクソソーム取り込み阻害効果についての検証をおこなった。神経細胞由来のエクソソームに対する取り込み阻害効果は先行実験にて示されているが、悪性神経膠腫の細胞株から分泌されるエクソソームに対してはNegr1によるマイクログリアへの取り込み阻害効果は確認されなかった。Negr1蛋白過剰発現株での検証やNegr1分泌蛋白を精製し、それを添加することでの効果を検証したが、悪性神経膠腫由来エクソソームにおける阻害効果は認めなかった。よって、以降に予定していた動物実験によるNegr1の抗腫瘍効果の検証実験や分子学的な作用機序解明の実験は中止とした。
代替研究として悪性神経膠腫細胞由来のエクソソームによるマイクログリアの活性化メカニズムの解明研究をおこなった。先行実験にて、悪性神経膠腫細胞由来エクソソームをマイクログリアに添加することで、マイクログリア内のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)群のmRNAの発現量が変化することがqPCRで確認されている。それに準じ、複数の悪性神経膠腫細胞株から分泌されたエクソソームをそれぞれマイクログリアに添加し、それらによるマイクログリア内のmRNA変化についてRNAシークエンスで網羅的に解析した。複数の細胞株で共通して変化を認めた因子や文献学的に候補となりうる因子を抽出し、最終的に3つの因子を同定した。それらについてマイクログリア内の発現変化量を実際にqPCRで確認し、最も変化量の大きな因子を同定した。今後はその因子についての作用機序解明をおこなう方針である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

申請時の研究予定では、先行実験の結果を踏まえ、Negr1によるマイクログリアへの悪性神経膠腫由来エクソソームの取り込み阻害とそれによる抗腫瘍効果、さらには作用機序解明をおこなう方針であった。しかし、悪性神経膠腫での阻害作用が確認できなかったことから、当初予定していた動物実験やその後の作用機序研究は中止せざるを得ない状況となった。
しかし、多方面的アプローチとして検討していた、悪性神経膠腫由来エクソソームによるマイクログリアの活性化について、マイクログリア内のmRNAの変化量につきRNAシークエンスをおこない、その候補となる因子の同定にまで至った。
申請当初の実験計画と比較するとやや遅れてはいるが、代替研究でも今後につながる結果を認めていることから、大きく遅れることはなく進行していると考える。

今後の研究の推進方策

申請当初の研究計画からは多少変更となるが、今後は悪性神経膠腫由来エクソソームによるマイクログリアの活性化についての研究をすすめる。
現時点で同定された因子の、悪性神経膠腫の微小環境における機能や周囲の細胞に対する効果を検証する。また、マイクログリア内でその因子の発現量変化をもたらすエクソソーム内包物を同定し、作用機序の検討をおこなう。

次年度使用額が生じた理由

申請当初の計画とは違い、代替案で実験すすめた結果、差額が生じたと考える。
次年度はメカニズムのさらなる解明を行うために、差額を使用し実験することが必要になると思われる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 膠芽腫細胞が分泌するエクソソームによるマイクログリア内mRNAの変化2017

    • 著者名/発表者名
      筒井泰史
    • 学会等名
      第76回日本脳神経外科学会学術総会

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公開日: 2018-12-17  

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