研究課題/領域番号 |
17K16639
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
棚橋 邦明 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90790717)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 髄膜腫 / YAP / Hippo pathway / 間葉系幹細胞(MSC) / 癌関連線維芽細胞(CAF) / 細胞外基質硬度 |
研究実績の概要 |
頭蓋底部に発生する髄膜腫は、硬膜に沿った進展様式を呈し脳神経を巻き込んで発育するため、組織学的に良性であっても機能的に予後不良である。脳表に発生する髄膜腫の多くはNF2遺伝子変異が特徴的であるが、NF2遺伝子変異を起源としない頭蓋底部髄膜腫の発育と進展様式の解明を目指している。その鍵を握るのが腫瘍の足場環境を作り出す間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell, MSC)と考え、細胞の足場環境(細胞外基質硬度)がYAPタンパク活性化を介してMSCを癌関連線維芽細胞(Cancer associated fibroblast, CAF)へと分化させる機序を明らかにすべく研究を進めている。髄膜腫摘出検体の免疫組織染色において、NF2遺伝子がコードするMerlinを正常発現する頭蓋底髄膜腫では腫瘍中心部のMerlin高発現とYAP抑制、および腫瘍辺縁部のMerlin低発現とYAP活性化、すなわちHippo pathwayの機能が示され、過去の報告通りである。また、YAP高発現はMSCからCAFへの分化を促進すると考えられるため、MSCの未分化マーカーとして報告されている Meflin発現を指標として腫瘍組織中のMSCおよびCAFの局在を明らかにすべく、髄膜腫検体の免疫組織染色におけるMSCとCAFの染色パターンを調査中である。さらにアクリルアミドゲルを用いた細胞外基質硬度調節を行うことで、髄膜腫細胞株において細胞外基質の硬さがYAPを活性化することが示唆された。今後髄膜腫組織検体を集積していき、MSCの抽出、髄膜腫細胞株との共培養、細胞外基質硬度調節を行い、in vitroにおいてMSCおよびCAFが髄膜腫進展に果たす役割を明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
髄膜腫組織検体の免疫組織染色において、間葉系幹細胞(MSC)や癌関連線維芽細胞(CAF)の染色パターンを調査中であり、使用抗体の見直しおよび抗体の条件設定に時間を費している。また、アクリルアミドゲル上で髄膜腫細胞株を安定して培養するための条件設定に時間を要した。さらに髄膜腫細胞株の樹立とMSCの抽出のため、頭蓋底部発生の髄膜腫組織検体を集積中である。
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今後の研究の推進方策 |
髄膜腫組織検体の免疫組織染色において、間葉系幹細胞(MSC)や癌関連線維芽細胞(CAF)の染色パターンを調査中である。YAPとMerlinのような明瞭な局在パターンを見出すため、抗Meflin抗体の条件設定の変更や使用抗体の見直しを行い、組織検体中のMSCの局在を明らかにしていく。MSCを抽出、髄膜腫細胞株を樹立し、in vitroへと研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
髄膜腫組織検体の免疫組織染色において、間葉系幹細胞(MSC)や癌関連線維芽細胞(CAF)の染色パターンを調査中であり、使用抗体の見直しおよび抗体の条件設定に時間を費している。また、アクリルアミドゲル上で髄膜腫細胞株を安定して培養するための条件設定に時間を要した。さらに髄膜腫細胞株の樹立とMSCの抽出のため、頭蓋底部発生の髄膜腫組織検体を集積中である。これらによる研究進捗の遅れのため、次年度使用額が生じた。MSCの分離培養、MeflinおよびYAP発現解析、遺伝子発現の網羅的解析等の研究を進めるために使用する予定である。
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