研究課題
神経膠腫のサンプリングにおいてNeuro-Navigation Systemを用い、多点で症例ごとに定位サンプリングを行った上、解剖学的位置情報を紐付けたライブラリー の作成を継続している。また部位ごとに腫瘍のゲノム・エピゲノム解析、病理学的検討、ならびに局所再発部位との相関についても検討を重ねた。個体間のコピー数異常の不均一性や、その予後マーカーとしての意義を検証すべく、200症例以上の本邦の膠芽腫を対象としたコピー数異常解析を行った。日本とThe Cancer Genome Atlas の初発膠芽腫のデータベース(分子遺伝学的背景や臨床情報)を用いて詳細な生存解析を行い、新たな予後不良バイオマーカーであるEGFR, PTEN, CDKN2Aのゲノムコピー数異常を共有する分子プロファイルを見出した。さらにこの特定の分子プロファイルの極端な頻度差が、日本と欧米間で見られる予後格差の主たる説明因子となっていることを突き止めた。本研究成果は学術誌Acta Neuropathologica Communications(18 June 2019)に掲載された。神経膠腫における時間的不均一性(クローン進化の過程)を明らかとするため、同一腫瘍の初発、再発時の臨床サンプルから得られた分子生物学的プロファイルの比較を検討を進めた。さらに初発再発間で注目すべき差異を呈するペアを抽出して全ゲノムシークエンスやマイクロアレイによる網羅的解析を追加しており、現在学術誌への投稿準備を進めている。
すべて 2019
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Acta Neuropathologica Communications
巻: 7 ページ: 131
https://doi.org/10.1186/s40478-019-0749-8