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2017 年度 実施状況報告書

アミノ酸代謝リモデリング分子をターゲットとした新たな膠芽腫治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K16648
研究機関神戸大学

研究代表者

中溝 聡  神戸大学, 医学部附属病院, その他 (00569238)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードglioma / アミノ酸代謝
研究実績の概要

IDH変異のあるグリオーマでは2-ハイドロキシグルタレート(2HG)の産生が上昇するのみでなく、a-ケトグルタール酸(a-KG)補充のためにグルタミン酸代謝が亢進することを見出した。IDH変異のあるグリオーマの診断バイオマーカーとして有用であることを突き止めた。膠芽腫細胞の中では、糖代謝と関連の深いアミノ酸代謝で劇的なリプログラミングが生じているものと思われた。膠芽腫細胞内で、グルタミン,セリン,グリシン,トリプトファンの消費が共通して高い可能性が示唆された。栄養学的非必須アミノ酸の中でセリンは特殊な代謝様式を示し、3ステップの酵素反応[ホスホグリセ リン酸デヒドロゲナーゼ(PHGDH),ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ1(PSAT1),ホスホセリンホスファ ターゼ(PSPH)]で3ホスホグリセリン酸(3PG)から合成されるが、グルタミンフリー培地で膠芽腫細胞を培養すると、細胞内セリンの著名な上昇が生じることを見出し、グルタミンフリーの状態ではPSAT1が著明に発現亢進していることを発見した。PSAT1はP-PyrをP-Serに変換するアミノトランスフェラーゼであるが、この酵素をノックダウンすると膠芽腫細胞の増殖は著明に抑制され、cell cyele arrestが起こり、アポトーシスが誘導されることが判明した。以上より、PSAT1はグルタミン不足環境下で非常に重要な酵素であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

グルタミンフリーの培養液で培養した時のアミノ酸の代謝変化を詳細に解析し、セリンの上昇の鍵となるのはPSAT1であり、その抑制で細胞がアポトーシスを起こし、セリンの生存に対する意義が確認されたため。

今後の研究の推進方策

膠芽腫(グリオーマ)におけるPSAT1の発現および悪性度との関係を解析する。また、PSAT1のノックダウンによる細胞増殖抑制効果およびアポトーシス誘導効果を詳細に検討する。マウス脳グリオーマ移植モデルを用い、PSAT1ノックダウンによる抗腫瘍効果を検討する。そして、PSAT1のノックダウンとグルタミン合成阻害剤との併用による抗腫瘍効果を検討する。

次年度使用額が生じた理由

クロマトグラフィーカラム、ガラスバイアルなどが以前購入していたものを使用し、購入量が予定よりも少なく済んだため。また、メタボローム解析のサンプル数が少なく、解析費用が予定折も少なかったためである。これに関しては、次年度にノックダウン、阻害剤などを使用してメタボローム解析を多数行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術後に親水コーティングに関連する脳実質変化を認めた1例2017

    • 著者名/発表者名
      中溝 聡、中村直人、岡田真幸、阪上義雄
    • 学会等名
      第42回日本脳卒中学会学術集会

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公開日: 2018-12-17  

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