研究課題/領域番号 |
17K16651
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西村 中 九州大学, 大学病院, 助教 (90452755)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脳動脈瘤 / Nox4 / 炎症 |
研究実績の概要 |
1)マウス脳動脈瘤モデルを用いた,Noxファミリータンパク質の発現の解析:平行平板型(層流)および回転円錐型(乱流)壁ずり応力負荷装置を用いてラット脳血管内皮細胞(GPNT)にshear stressを負荷し、強度別におけるmRNA、タンパクの発現を解析した。また、ラット 脳動脈瘤モデルを作成し、脳血管におけるmRNA、タンパクの発現を解析した。 GPNTにおけるNox4のmRNAの発現は、 乱流負荷において有意に発現が上昇した。またその他の炎症系分子については層流、乱流ともに上昇し、特に乱流では強い発現の上昇を認めた。脳動脈瘤モデルにおいて、Noxファミリータンパク質のうち、Nox4の発現のみ上昇し、免疫染色では動脈瘤における頚部周囲の乱流が起こる部位に発現の上昇を認めた。GPNTに対し、Nox4の過剰発現を行うと、層流、乱流負荷にて最も強く発現が上昇する炎症系分子であるMCP1の発現が低下した。これらの結果よりNox4は脳動脈瘤において、炎症の強く起こる乱流部に発現し、動脈瘤の形成・増大に強く関わるMCP1の発現を抑制することで保護的な役割を担っていることが予測された。 2)Noxファミリータンパク質のノックアウトマウスを用いた脳動脈瘤の増大・破裂に対する分子メカニズムの解明:マウス脳動脈瘤モデルを作成中である。 3マウス脳動脈瘤モデルに対するNox阻害薬封入タンパク質ナノ粒子の,脳動脈瘤の増大・破裂抑制効果の検討:研究計画時にはNox4は炎症を惹起し、動脈瘤の増大に寄与するものとの仮説を立て、Nox阻害薬による治療法の検討を行う予定であったが、1)の結果によりNox4は保護的に作用していることが示唆されたため、現在Nox4を賦活するナノ粒子に関して検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳動脈瘤の形成・増大におけるNox4の抗炎症作用がin vivo、in vitroともに明らかとなった。Noxファミリータンパク質のノックアウトマウスを用いた脳動脈瘤の増 大・破裂に対する分子メカニズムの解明については、本年度もマウスにおける動脈瘤の作成に難渋しており、現在もモデル作成中である。マウス脳動脈瘤モデルに対するNox阻害薬封入タンパク質ナノ粒子の,脳動脈瘤の増大・破裂抑制効果の検討については、研究計画時にはNox4は炎症を惹起し、動脈瘤の増大に寄与するものとの仮説を立て、Nox阻害薬による治療法の検討を行う予定であったが、1)の結果によりNox4は保護的に作用していることが示唆されたため、現在Nox4を賦活するナノ粒子に関して検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
Noxファミリータンパク質のノックアウトマウスに対する脳動脈瘤作成を継続し、脳動脈瘤の増大・破裂に対する分子メカニズムの解析を行う。Nox4を賦活するためのナノ粒子作成について現在計画中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
動脈瘤モデルに使用するラット、マウスの購入費、飼育費が予想より多く必要であったため。また過剰発現およびsiRNAを行うための試薬が必要であったため。
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