研究課題/領域番号 |
17K16656
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
山田 紘史 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (90727489)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脳腫瘍 / 髄膜腫 / 硬度 / MRI |
研究実績の概要 |
脳腫瘍、特に髄膜腫について、その硬さは、時に手術の難易度を左右し、術後の手術成績(摘出率や合併症の出現率)にも影響し得るものである。しかし、髄膜腫の硬さを術前評価する方法としては、確立したものがないのが現状といえる。本研究では、過去の水頭症の研究で明らかにした、心電図同期によるMRI検査法で、心周期における拡散係数の変化量(deltaADC値)が脳局所の柔軟性と相関する、という原理を応用し、術前MRI検査のデータと、実際に摘出した腫瘍の硬さとの相関性を探ることを目標とした。本研究では硬さの評価法として、主観的なものではなく、硬度計による定量的評価、という手法を採用した。また、過去の報告などから、腫瘍の硬さとその水分含有率については相関関係がある可能性が高く、摘出病変の水分含有率も同時に評価することとした。さらに、近年では開頭術の前に栄養血管塞栓を行う症例も増えており、塞栓術の前後でのMRIデータの変化についても評価することとした。 本研究は患者を対象とした臨床研究(ケースシリーズ研究)で,研究の実施に当たっては、術前MRI検査を追加で行う必要がある(軽微な侵襲を伴う)ため、学内医学系研究倫理審査委員会への承認を得るべく、書類申請を行った。 研究の進捗状況としては、当初は近年の診療の動向から年間10例ほどの対象症例を見込んでいたが、平成29年度は5例ほどに留まっており、データの収集としてはやや遅れているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は研究への導入として、まず研究計画の具体的な立案を行った。科研費申請時は脳腫瘍という大区分での調査を計画したが、現実的には、硬度計による硬さ測定は髄膜腫の測定には適するものの、その他の脳腫瘍にはほとんどの場合組織が軟らかすぎるため適さないことから、髄膜腫を対象とする研究とした。 研究計画の当初は、近年の臨床診療の動向から、年間10例ほどの症例集積を見込んでいたが、平成29年度は5例ほどの髄膜腫症例(手術適応)に留まったため、データ集積がやや遅れている状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度も症例毎にデータの収集を行う予定である。また、同時にデータの解析を行い、研究の成果について学会等で報告していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
MRI検査室の施設利用料(検査料)については当研究費で負担することとなっているが、具体的な1検査あたりの費用については当施設内で協議中で、費用額が決定次第支出する予定となっている。この為、平成29年度の収支報告では計上していない。 平成30年度は症例の集積に応じてデータ管理、解析用の必要物品や、データ収集に要する消耗品等を購入予定である。また、MRI検査室の施設利用料についても計上されてくる予定である。
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