研究課題
若手研究(B)
脳腫瘍(特に髄膜腫)の硬さは、摘出術の難易度を左右しうる。画像診断で術前評価を行った過去の報告はほとんどが定量的な手法に基づいていない。本研究では「心電図同期によるMRI検査法で、心周期における拡散係数の変化量(deltaADC値)が脳局所の柔軟性と相関する」という原理を脳腫瘍の硬さの評価に応用した計画を立案したが、期間中に一定の結果を得るのは困難であった。一方で、T2値測定法によるT2値と病変の硬さについて、定量的手法に基づいた有意な相関性を新たな知見として得ることができた。
脳腫瘍
脳腫瘍の硬さを術前検査で予測できれば、手術計画(適切な開頭範囲、摘出率の予測、術後合併症の予測など)において有用な情報となることは言うまでもない。本研究で行った評価法は、脳腫瘍の診療で一般的に行われるMRI検査を用い、造影剤を用いることもなく、数分の検査時間の追加で行い得る。脳腫瘍を患う被検者に対し最小限の負担で行える検査法と言えるもので、臨床現場においても導入をしやすく、社会的意義もあると考えられる。