近年脳梗塞後片麻痺のリハビリテーションに反復磁気刺激などを使ったneuromodulationが盛んに行われている。。その基盤として神経皮質間結合の重要性が強調されており、実際一次運動野脳梗塞は一時的な同側の感覚障害を引き起こし、運動障害からの回復やリハビリテーションの効果に大きな影響を与える。この運動野脳梗塞時の感覚障害の神経基盤を理解するために、前年度までにマウスの一次運動野(M1)に限局した脳梗塞モデルを用いて、脳梗塞後の一次感覚野(S1)での、ヒゲの触覚刺激に対する神経活動の時間分解能(Temporal coding)が障害されることを示した。また大脳皮質の6層構造で層ごとに、Temporal codingが違う回復傾向があることも同時に示した。さらに、integration-and-fire modelとcurrent source density解析を用いたシュミレーション実験から、その原因として、M1からS1のへのfeedforward inhibitionの存在が示唆された。本年度はそのfeedforward inhibitionの存在を光遺伝学的手法を用いて検証した。まず、M1にチャネルロドプシンをウイルスベクターで導入した。実際にヒゲの触覚刺激時にM1を光で同時に刺激するとS1の神経活動が抑制された。これらの結果から、運動野脳梗塞時に一過性に生じる感覚障害は、運動野からの抑制入力が減少することによるTemporal codingの低下ではないかと結論した。それらScientific Reportsに投稿しAcceptされた。
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