研究課題
5/6腎臓摘出術モデルラット(CKDラット)を作成し、骨強度及び骨質異常に関して検証を行った. CKDラットは骨脆弱性が問題となるステージ4に相当する腎障害を生じ,二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT,i-PTH増加)とリン代謝異常(FGF-23,P増加)を呈した.組織形態学的には高骨代謝回転となり,石灰化度や炭酸塩含有量の低下といった骨質異常を呈した.次に安全上の理由から臨床治験が行われていないステージ4以上のCKDに対するBPとTPDの効果および副作用を検証した.ALN投与により骨代謝回転は抑制され,骨量と骨強度が増加傾向を示すとともに,骨基質炭酸塩含有量が回復した(アシドーシス改善を示唆).ALN投与により腎機能は悪化せず,逆に高リン血症が是正した.一方,TPDは,SHPT状態でもアナボリックに作用し,骨密度・骨強度を著増させたが,高リン血症が悪化し,炭酸含有量が増加した.したがって,CKDステージ4以上の患者へのTPD投与は慎重になるべきと考えられた.続いて、CKDラットモデルを用いて,月1回あるいは年1回BP製剤を想定した高用量低頻度(High dose low frequency; HDLF)投与と,毎日あるいは週1回BP製剤を想定した低用量高頻度(Low dose high frequency; LDHF)投与の骨粗鬆症治療効果および安全性を比較検討した.CKDラットにおいてHDLFはLDHFよりも強い骨代謝抑制効果を示し, 基質石灰化度が高かった. 剛性の改善効果はHDLF群のほうが優れていたが,骨強度と靱性の改善効果はLDHF群が優勢であった.ShamではBPによる骨治療効果にLDHF群とHDLF群の違いは観察されなかった.HDLF, LDHFによる腎機能障害の悪化はみられなかった. 進行期CKDに対するBP療法ではLDHF製剤が適していると考えられた.
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J Bone Miner Metab.
巻: 38(2) ページ: 222-229
巻: 37(2) ページ: 351-357