本研究では、肩関節再建術後の筋肉の活動量の解析として、腱板断裂に対して反転型人工肩関節置換術や上方関節包再建術による肩関節再建術を行った患者を対象に、陽電子放出断層撮影法(PET)を用いて肩関節動作時の筋活動の定量化を行い、術後肩周囲筋の力学的特徴を明らかにすることを目的とした。また、個々の筋肉の活動性と術後機能との関連性の検証として、剪断波エラストグラフィー(SWE)を用いて個々の肩周囲筋内の剛性を定量評価し、再建術前後での生体力学的特性の変化を評価することを目的とした。対象は、上方関節包再建術患者、反転型人工肩関節置換術を受けた患者で、術後後療法を6ヵ月間行った後に、PET、SWE検査を再度行い術前との変化を評価するとともに、肩関節機能評価法を用いて臨床成績を評価し、機能改善症例と不良症例におけるPETならびにSWEでの計測結果に違いがないかを検討した。 本研究において、各々の肩関節再建術後の詳細な筋活動ならびに力学的特性を明らかにすることが可能となり、手術後の機能改善に有用な筋の活動パターンを提唱することが可能と考えている。本研究では、肩周囲筋の筋活動を評価する上で、PETやSWEなどの特殊検査を用いて専門的な解析を行うため、研究科の枠を超えた連携が非常に重要であった。現在は、反転型人工肩関節置換術施行患者および上方関節包再建術施行患者に対して、SWEを用いて三角筋の剛性変化を定量測定を行うとともに、PETによる筋活動量の定量 化の計測など、目標患者数に近いデータ採取を終えており、現在は得られたデータをもとに解析を行っており、各々の手術後の挙上時の筋活動量の変化を同定する予定である。
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