研究実績の概要 |
滑膜幹細胞は高い軟骨分化能を示し、これを用いた軟骨・半月板の再生医療を目的とした医師主導治験、臨床研究が計画・実施されている。現在のところ滑膜幹細胞を用いた治験・臨床研究は軟骨損傷や半月板損傷、および変形性膝関節症を対象としてきたが、関節リウマチなど炎症性疾患に対する適応の拡大も期待されている。本研究は関節リウマチの病態と関連した滑膜幹細胞の性質を明らかにすることを目的としている。関節リウマチ由来の滑膜幹細胞について、変性性膝関節症由来の滑膜幹細胞と比較し、増殖能・分化能・表面抗原プロファイルの評価を行った。結果、関節リウマチ由来滑膜幹細胞は変形性膝関節症由来滑膜とほぼ同等の増殖能を有し、コロニー形成能、分化能、表面抗原発現パターンも類似していた。成果は査読付きの国際雑誌に原著論文として採択された(Stem Cell Res Ther.)(2017) また、関節リウマチも変形性膝関節症と浮遊滑膜培養モデルにおいて滑膜幹細胞のコロニーが形成されるのか,また形成されるのであれば得られた細胞に違いがあるのかについて検討した。結果、関節リウマチも変形性膝関節症と同様に浮遊滑膜培養モデルで滑膜幹細胞のコロニーが形成され、損傷時など自然修復機構が働くことが示唆された。収量の検体間差がRA群で大きかった一方で、平均収量,軟骨分化能、表面抗原については差を認めなかった。成果は査読付きの国際雑誌に原著論文として採択された。(BMC Musculoskeletal Disorders)(2018)
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