研究課題
今年度は計15例の人工股関節の手術被験者からヒト成熟骨芽細胞を採取した。細胞数は1-3*10~6個、採取した細胞のRNA integrity number(RIN)で評価したところ、RIN>8であり、細胞数、質双方で安定して移植実験は可能と判断した。このため、ヌードマウス10匹を用いた骨折モデルを作成し移植実験を行った。動物実験は問題なく終了して、現在結果の解析中である。今後結果を論文発表する予定である。また、ヒト成熟骨芽細胞の移植に際して、被験者の既存疾患が細胞移植後の骨形成、骨折治癒に影響を及ぼす可能性があると考え、今回の実験で採取したヒト成熟骨芽細胞のうち、糖尿病患者群と非糖尿病患者群について、その遺伝子発現を検討した。マイクロアレイ法及びリアル・タイムPCR法による検討、パスウェイ解析により、糖尿病患者の成熟骨芽細胞では、がん発症に関連する特定の遺伝子群の発現上昇を認めた。本結果は、ヒト成熟骨芽細胞採取時に被験者の基礎疾患を考慮するべきであることを示唆するだけでなく、糖尿病患者ががんを罹患しやすい原因の検討につながると考え、これを論文として発表した。現在、糖尿病とがんの関連性について骨芽細胞セルラインを使用してin vitroでの検討を開始している。さらに、糖尿病による骨質低下の原因解明をめざしてヒト成熟骨芽細胞の培養実験(高グルコース条件や終末糖化産物付加)を行っており、糖尿病が惹起する骨脆弱性につながる細胞内シグナル伝達の解明を試みる予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件)
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