研究課題/領域番号 |
17K16685
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
大場 哲郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (70456490)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 腰痛 / 椎間板 / マストcell トリプターゼ / PAR-2 |
研究実績の概要 |
目的①:我々が確立したマウス椎間板の組織培養モデルを使用して、PAR-2シグナルの刺激で発現誘導されるサイトカインを解析する。 椎間板臓器培養モデルでは、PAR-1アゴニストの刺激により椎間板組織(PCR)および培養上澄(ELISA)からMCP-1及びTSLPの発現を確認した。同様の刺激でMMP-3の発現は認められなかった。これらの反応はPAR-1アゴニストの濃度には依存せず、刺激時間に依存していることが明らかとなった。 目的②:マスト細胞によるPAR-2シグナル刺激の椎間板変性への影響 (in vitro) 同様のモデルを使用し、培養マスト細胞から採取したマスト細胞トリプターゼによる椎間板刺激を施行した。椎間の板組織及び上澄にMCP-1及びTSLP,MMP-3の発現誘導は認められなかった。さらにMCT刺激では、軟骨基質の発現量にも大きな変化は認められなかった。 この結果は、椎間板組織内ではMCTの刺激はPAR-2シグナルを介さないことを示唆した。 そこで我々は、同じプロティナーゼ活性化型受容体であるPAR-1に着目点を移すこととした。まずはマウス椎間板にPAR-1と代表的なPAR-1アゴニストであるトロンビンの発現を確認した(IHCおよびELISA)(ELISA)。次に椎間板組織に対するトロンビン刺激でMCP-1が強力に発現誘導させることを確認し、さらにこの反応はPAR-1ブロッカーを使用することで阻害された。さらに我々はマイグレーションAssayを使用し、トロンビンによる椎間板刺激がマクロファージの遊走を誘導することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたのはMCTのPAR-2シグナルを介した炎症反応誘導を確認することであった。椎間板組織にPAR-2の発現、PAR-2アゴニストによるTSLP、MCP-1の発現誘導までは順調に研究が進行したが、MCTの刺激による椎間板の反応は期待していたほど顕著ではなく、椎間板組織内におけるMCT刺激はPAR-2シグナルをメインとしてはいないことが明らかとなった。 そこで我々は、PAR-1に注目し、再び実験を再開。PAR-1の代表的なアゴニストであるトロンビンによる椎間板の炎症反応の誘導メカニズムが明らかとされつつある。
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今後の研究の推進方策 |
①マウスの椎間板組織培養モデルでトロンビンの刺激により、椎間板の軟骨基質にどのような変化が出るかを確認し、トロンビンの椎間板変性への関与を明らかとする。 ②In vivoでマウス椎間板にトロンビンを注入にし、経時的に椎間板変性を比較検討する。 ③人のヘルニアサンプルを用いて、人椎間板におけるPAR-1、トロンビンの発現を確認する。
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