マウス尾椎から採取した椎間板に、マスト細胞のトリプターゼで刺激をしたところ、培養上澄にはTSLPやMCP-1といった炎症性サイトカインが発現していることを明らかにした。この発現はマスト細胞トリプターゼの濃度には依存せず、刺激した時間には依存して増加していた。次に、マスト細胞トリプターゼと同時にPAR-2シグナルの阻害剤を投与して培養したところ、炎症性サイトカインの発現は見られなかった。この事から、上記の反応はPAR-2シグナルに依存していることが明らかとなった。さらにPAR-2シグナルのアゴニストを用いて同様の実験をしたところ、これまでの結果を裏付けることができた。 さらにマスト細胞由来のトリプターゼを刺激により椎間板の軟骨基質の発現が低下することを明らかにした。 以上より、マスト細胞はトリプターゼ、PAR-2シグナルを介して炎症性サイトカインの発現誘導し、さらに軟骨基質の発現を低下させることで椎間板変性に関与していることが示唆された。
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