研究課題
軟骨変性疾患に関しては罹患者の生活の質を著しく損なっており、軟骨再生治療や関節リウマチ(RA)の病因解明が待たれるところである。特に膝関節においては臨床上多くの治療法が行われているが、その治療の軸はやはり人工関節置換といった代替療法であり、培養軟骨移植等新規治療も広く行き渡ってはきたが、その長期成績は未だ不確定である。我々は、関節変性疾患の病態には軟骨や滑膜といった関節構成成分の機能破綻の寄与が大きく、原因究明のためには恒常性維持機構の解析が必要であると考えており、以前より解析を進めてきた細胞膜イオンチャネルに着目し、関節構成成分の恒常性維持に関与する標的チャネルの分子実体の解明、疾患特異的に関与するmicroRNA (miRNA)の同定を目的としてた。実験手法としては本研究を通じて手術時に採取したヒト膝関節軟骨/滑膜から培養細胞を作成しそれぞれの実験に使用している。さらには関節液の浸透圧やサイトカインの測定も並行して行った。培養細胞から網羅的miRNA発現プロファイリングを行い、その結果から、疾患特異的なmiRNAを同定、検証する。これに関連する培養細胞の軟骨増生機能や滑膜増殖能についてサスペンションアレイシステムによるサイトカイン、成長因子、転写因子の網羅的解析を行う。現時点では滑膜に関してマイクロアレイ・ELISA解析を行い、その結果よりいくつかのイオンチャネルに標的を絞ってはいるが、ヒトの細胞を扱うという点から個体差が大きく、症例数の更なる増加が今後も必要と考えられる。疾患修飾因子の検討のため、現在当院にて加療中のRA患者に関しては年齢や合併疾患による患者特徴と治療薬について統計解析を行い、雑誌Modern Rheumatology (https://doi.org/10.1080/14397595.2021.1883251)に発表を行った。
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Modern Rheumatology
巻: online ページ: 1~10
10.1080/14397595.2021.1883251
Journal of Orthopaedic Surgery
巻: 28 ページ: 1~8
10.1177/2309499020911852