人工膝関節置換術施行患者の術後遷延痛の疫学的解析を行った。その結果術後遷延痛全体では約20%の患者で神経障害性疼痛の素因を有していた。また、術後遷延痛患者においては抑うつ傾向を認めることが多いことも分かった。 術後遷延痛患者に対しfMRI を行い、健常者と異なる部位での反応があるかどうか、また、神経障害性疼痛の素因を有する患者、抑うつを有する患者では侵害受容性疼痛である患者と異なる反応を示すかどうかを検討した。術後遷延痛の中でも抑うつ傾向を持つ患者において健常者と異なる部位での反応を示す症例もあったが、神経障害性疼痛で特徴的な所見としては認められなかった。 術後遷延痛の治療効果解析を行った。術後遷延痛を認めた患者に対し、プレガバリン内服による治療、集学的治療を行い、治療効果を検討した。痛みのNRSは治療前後で有意に軽減した。また、抑うつ傾向、破局的思考も治療前後で有意に改善した。一部の患者に対しfMRIを行ったが、治療前後で特異的な変化は認められなかった。
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