研究課題/領域番号 |
17K16692
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
古田 太輔 広島大学, 病院(医), 助教 (30781645)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | エクソソーム / 骨肉腫 / 転移 |
研究実績の概要 |
我々が保有しているヒト骨肉腫細胞株HOSと肺転移率の高いK-ras遺伝子をtransformさせたヒト骨肉腫細胞株143Bを用いて、マウスの膝に細胞移植しvivoにおける血中、または組織を採取してエクソソームを解析し相違を調査した。ヌードマウスのゲージの確保に時間がかかり、HOSと143Bを用いた腫瘍モデルの作成が平成30年6月に完成し、HOS、143Bの肺転移率は7週間目にHOSが10%、143Bが85%であった。予後はHOSは約9-10週で死亡、143Bは7-8週で死亡する。腫瘍モデルマウスの血液を採取してエクソソームを抽出し、エクソソーム内のmiRNA解析を行った。HOSと143Bマウスモデルを比較すると、miR143,miR23a,miR26aが著名に低下しいていた。これらはいずれも骨肉腫細胞株においてdownregulationされ、それぞれ異なる経路で骨肉腫細胞株の遊走能、増殖能などを抑制することが報告されている。これらの3つのmiRNAに焦点を当てて、抗腫瘍効果を期待できる組み合わせを検討した報告は未だない。そのためvitro,vivoの実験で引き続き行っているところである。さらに一方でHOS,143B由来のエクソソームに蛍光標識してマウスに投与し、転移しやすい肺への集積を検討したが、In vivo imaging systemの機械の不調か、thecnical errorの問題で結果がでていない。そのため上記に述べた3つのmiRNAをMSC由来エクソソームに過剰発現させ、腫瘍モデルに投与することによる抗腫瘍効果の検討に軌道修正を行っている。まだ研究の進捗が悪いため論文、学会発表に至っていない。 平成31年度の結果を踏まえOrthopaedic research society 2019において学会発表を計画している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験の遅れた原因としては、期待していたような骨肉腫細胞株HOS,143B由来のエクソソームをマウスに静脈注射しても、特に143B由来エクソソームがHoshinoら(Nature.2015)のように肺に集積させることが確認できていないため、転移のメカニズムの解明を示せていないことと、HOSと143B由来の細胞、エクソソーム内のmiRNAで抗腫瘍効果を期待できるものを比較検討したが、すでに報告のあるmiRNAしか確認することができなかった。そこで今、すでに報告はされているが、miR143,miR23a,miR26aに焦点をあてて、さらなる抗腫瘍効果の組み合わせを検討する研究に軌道修正しているため実験が遅延した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年6月~平成31年3月までに、HOSと143Bの腫瘍モデルが完成し、その腫瘍モデルを用いて、特に転移能の高い143Bモデルでは細胞内、腫瘍由来エクソソーム内、血中エクソソーム内においてmiR143B,miR23a,miR26aがdownregulationされていることが推測された。 平成31年4月~平成32年3月までに、これらのmiRNAをMSC細胞にトランスフェクションして、過剰発現させたMSC由来エクソソームを腫瘍モデルに投与(vivo)、また細胞株に投与(vitro)し、よりよい抗腫瘍効果(抗骨肉腫効果)を示す組み合わせを検討し、研究、論文発表を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
期待していたような骨肉腫細胞株HOS,143B由来のエクソソームをマウスに静脈注射しても、特に143B由来エクソソームがHoshinoら(Nature.2015)のように肺に集積させることが確認できていないため、転移のメカニズムの解明を示すことができなかった。そのため実験が遅れているため、研究結果を発表できるデータを保有することができなかった。そのため次年度使用額が生じてしまった。今後はHOSと143B由来の細胞、エクソソーム内のmiRNAで抗腫瘍効果を期待できるものを比較検討するが、現段階ではすでに報告のあるmiRNAしか確認することができなかったため、すでに報告がされているmiR143,miR23a,miR26aに焦点をあてて、さらなる抗腫瘍効果の組み合わせをvivo,vitroで実験を継続し、結果を学会発表するために費用を使用、または論文作成に使用する予定である。
|