研究実績の概要 |
骨延長は四肢短縮などの治療として有用である。多血小板血漿(platelet rich plasma; PRP)は多くの成長因子を含み、組織の修復に寄与するといわれているが、延長骨格筋に対する効果を調べた報告はなく、今回マウス骨延長モデルにおける骨間筋線維化に対するPRPの作用を検討した。 雄マウスの下腿に創外固定を装着、脛骨骨切り術を施行し、1週後より0.4 mm/日の速度で2週間骨延長を行った。延長終了直後(術後3週)の時点で、PRP非投与群とPRP投与群にわけ、PPRP非投与群ではphosphate buffered saline (PBS)、PRP投与群では延長筋にPRPの局所注射投与を行った。術後4、6、8、10週の各時点でサンプルを採取し、腓腹筋中央部横断切片で線維化をマッソン・トリクローム染色で組織学的に評価し、延長腓腹筋中のヒドロキシプロリン含有量を測定して線維化を定量した。 マッソン・トリクローム染色では術後4週ではPRP非投与群、PRP投与群ともに延長骨格筋の線維化は高度であった。 術後6週、8週、10週では線維化は軽減したものの、高度に残存していた。ヒドロキシプロリン含有量は術後4週ではPRP非投与群、PRP投与群ともに増加し, 術後6週、8週、10週でPRP非投与群、PRP投与群ともに軽減したものの、いずれの時点でも両群間で有意差はみられなかった。 マウス骨延長モデルにおける骨間筋線維化に対し、PRP投与は効果がないことが示唆されたが、本研究では骨延長後の骨間筋線維化に対するPRPの作用をはじめて明らかにした。
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