研究課題
昨年度、エリブリンがターゲットとしている微小管を形成するタンパクであるTubulinのサブユニットの発現の差異によって、エリブリンの感受性や腫瘍の増殖活性が規定される可能性を見出したため、これについて研究を遂行した。平滑筋肉腫細胞株を用いてエリブリン耐性株の作成に成功しており、これを用いて耐性株でのTubulinのサブユニット解析を行った。その結果、Class III β-Tubulinの高発現がエリブリン耐性化に関与している可能性が示唆された。また、腫瘍組織においてClass III β-Tubulinが高発現しているものは有意に増殖活性を示唆するMIB-1指標率が高く、また高発現の患者の方が低発現の患者群より統計学的有意に予後が不良であることを見出した。これらの結果をふまえてClass III β-Tubulinの高発現がエリブリン耐性および腫瘍細胞の増殖に関与していると考えられ、この成果を日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会にて発表を行った。その後、データを補完すべく継続的に研究を行い論文として発表した。Class III β-Tubulin Overexpression Induces Chemoresistance to Eribulin in a Leiomyosarcoma Cell Line.(Anal Cell Pathol). この論文において示されたように、エリブリンの適応となる患者から得られた腫瘍組織のClass III β-Tubulinの発現を調べることによりエリブリンの効果を予測できバイオマーカーとしてのClass III β-Tubulinがオーダーメイド化された化学療法レジメンの計画に役立つ可能性があることを示唆した。
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Analytical Cellular Pathology
巻: 2018,8987568 ページ: 1~11
10.1155/2018/8987568
PLOS ONE
巻: 13 ページ: e0194508
10.1371/journal.pone.0194508