研究実績の概要 |
超高齢社会を迎え骨粗鬆症に伴う脊椎圧迫骨折患者数は年々増加している。局所投与を可能とした人工コラーゲンとコラーゲン結合型成長因子を用いた低侵襲な椎体骨折治癒促進法の実用化を目指して研究を行った。昨年度は最適化したクロストリジウムヒストリティカム由来コラゲナーゼの一つであるColGに由来するコラーゲン結合ドメイン(collagen binding domain, CBD)を2つ有するコラーゲン結合型塩基性線維芽細胞増殖因子CB-bFGF (bFGF-3a-3b)とBone morphogenetic protein-2 (BMP2) の併用による骨形成促進能をラット椎体骨折モデルを用いて明らかにした。しかし、昨年度までに用いていたゲル剤は投与後周囲に拡散するという欠点があった。本年度は投与ゲル剤が周囲に拡散しないようにするために、局所投与後に局所で硬化する新規ゲル剤を用いてシーズの最適化を行った。0.058 pmole bFGF-3a-3b (bFGF 1ug 相当)、1ug BMP2+ 0.058 pmole bFGF-3a-3b, 10 ug BMP2+ 0.058 pmole bFGF-3a-3bをそれぞれ局所硬化ゲル(HG)と混合し、ラット椎体骨折モデルに投与した。骨折のみの群をコントロールとした。投与後、2, 4週に micro CTを用いた新生骨量、骨塩量計測を行った。HG/10 ug BMP2, HG/10 ug BMP2+ 0.058 pmole bFGF-3a-3b 群、HG/bFGF-3a-3b+1ug BMP-2群では骨癒合が認められた。従来法と骨形成量は同等であったが、異所性骨化は少なかった。本研究結果から局所硬化ゲルを用いることで局かつ効果的に骨癒合を促進できる可能性が示唆された。
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