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2018 年度 実施状況報告書

磁気共鳴画像法を用いた肩甲帯周囲筋の三次元定量的解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K16703
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

松村 昇  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70383859)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード肩関節 / MRI / 筋変性 / 筋脂肪浸潤
研究実績の概要

肩関節疾患における患者の臨床症状や機能予後、手術適応や治療成績は肩関節周囲筋の筋状態に大きく左右される。本研究は患者に対して撮影された画像を詳細に解析し、肩甲帯の筋変性および機能障害を定量的に評価することを目的とする。
肩腱板断裂の予後不良因子および治療成績不良因子として腱板構成筋の筋萎縮および筋脂肪浸潤が知られているにもかかわらず、現在までにその定量的評価は確立されていない。肩腱板断裂患者に対して撮影されたMRI画像を解析し、腱板構成筋全体の体積および脂肪含有率をそれぞれ評価する。各被験者により断裂している部位やその大きさ、また受傷や症状出現からの期間が異なるため、損傷部位とその程度により腱板構成筋がそれぞれどのように変化しているかを評価する。また筋萎縮および筋内脂肪浸潤は罹病期間が長くなると進行する。筋内脂肪浸潤は不可逆であると考えられ、手術により腱の連続性が修復されても回復しないとされている。保存的に加療された腱板断裂患者を計時的に評価し、どのような症例で筋萎縮および脂肪浸潤が進行するのか、どのような症例では変化しないのかを評価していく。また手術症例における術前および術後のMRI画像を比較し、定量解析した筋体積および筋内脂肪含有率が可逆的か不可逆的かを評価する。これらの評価により腱板断裂における手術の適応範囲や手術により機能改善が期待できる時期を明らかにしていく予定である。
さらには肩関節疾患患者に対して撮影された画像を用いて、変形性肩関節症の骨形態の変化を評価し、肩関節不安定症患者における不安定感の定量的な評価も併せて行っていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在までに40名に対して撮影されたMRI画像の解析を行い、筋内脂肪率は腱断裂が生じた筋において増加する傾向が認められた。また筋体積は広範囲断裂群において棘下筋が減少し、小円筋が代償性に増加する傾向を示していた。筋の総体積から脂肪を除いた純筋体積においてはその傾向が顕著となり、また棘上筋の純筋体積も減少していることが明らかとなった。その一連の成果を学会発表および論文投稿の形で報告している。
変形性肩関節症においては骨欠損に伴い関節窩の形態が変化し、治療成績不良の原因となることが知られている。肩関節疾患患者に対して撮影された画像を三次元的に評価し、関節窩の捻転が後捻角および傾斜角の数値を変化させること、また病態によってその変化が異なることを明らかとし、その成果を論文の形で報告した。

今後の研究の推進方策

腱板断裂を認めたものの比較的臨床症状が軽度であったり、観血的手術を希望されないなどの理由で保存的に加療している腱板断裂患者の筋萎縮および脂肪浸潤の変化を経時的に評価し、どのような症例で変性が進行し、断裂がどの程度まで拡大しなければ変性は進行しないかを明らかにしていく。また手術症例における術前後のMRI画像を比較し、定量解析した筋萎縮および筋内脂肪浸潤が可逆的か不可逆的かを評価し、どの程度の変性ならば筋状態回復と機能回復が期待できるかを評価していく予定である。
また、肩関節不安定症患者において外転外旋位で肩関節の不安定感が生じることが知られている。ただしこの動作により肩関節運動にどのような変化が生じているかは未だ不明である。連続的に画像を撮影する四次元CTを用いてこの肩関節不安定感を定量的に評価していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

解析および発表のため使用を予定していたが、計画していた解析が予定より遅れており開始できていない。次年度に計画している解析を行うための設備備品費および消耗品、成果の発表のための旅費、論文作成、投稿、掲載料などに必要な経費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] A computed tomography analysis of three-dimensional glenoid orientation modified by glenoid torsion2018

    • 著者名/発表者名
      Matsumura Noboru、Oki Satoshi、Suzuki Taku、Iwamoto Takuji、Sato Kazuki、Nakamura Masaya、Matsumoto Morio、Nagura Takeo
    • 雑誌名

      JSES Open Access

      巻: 2 ページ: 194~199

    • DOI

      10.1016/j.jses.2018.07.002

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 腱板断裂における筋内脂肪浸潤の経時的変化2018

    • 著者名/発表者名
      井手健太、渥美秋成、松本守雄、中村雅也、名倉武雄、松村昇
    • 学会等名
      第29回 日本臨床スポーツ医学会
  • [学会発表] 腱板断裂における腱板構成筋の体積変化2018

    • 著者名/発表者名
      渥美秋成、井手健太、松本守雄、中村雅也、名倉武雄、松村昇
    • 学会等名
      第29回 日本臨床スポーツ医学会

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公開日: 2019-12-27  

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