研究課題/領域番号 |
17K16705
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
前原 美樹 東海大学, 医学部, 特定研究員 (40794102)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 再生医学 / 軟骨細胞 / 細胞シート / エクソソーム / miRNA |
研究実績の概要 |
関節軟骨損傷に対する軟骨細胞シート移植による関節治療の実施に際し、細胞シートの軟骨形質発現を非侵襲的に検査する方法が望まれている。細胞が培養上清中に放出するエクソソーム(膜小胞体)にはmiRNAが含まれており、細胞シートの培養上清から得られるエクソソームは細胞シートの軟骨形質発現と相関することが予想され、軟骨形質発現のマーカーとして利用できる可能性がある。本研究の目的は、ヒト軟骨細胞シートが培養液中に放出するエクソソームに内包されるmiRNAをマイクロアレイにより解析し、軟骨形質発現のマーカーとなるmiRNAを同定すること、また、同定されたmiRNAがターゲットとする遺伝子を特定し、細胞シートの軟骨修復効果への寄与について解明することである。本年度は、研究計画に従い、下記の実験を実施した。 1. 7ドナーの多指症患者由来軟骨細胞から作製した細胞シートおよびその培養上清中エクソソームに内包されるmiRNAを抽出し、培養上清中エクソソームで有意に発現が変動するmiRNAをマイクロアレイ解析により絞り込んだ。 2. 6ドナーの多指症患者由来軟骨細胞から、異なる培養条件下にて2種類の細胞シートを作製し、軟骨形質および組織修復能が大きく異なることを確認した。これらの細胞シート培養上清中エクソソームに内包されるmiRNAを抽出し、軟骨修復能の優れた培養条件で有意に発現が変動するmiRNAをマイクロアレイ解析により絞り込んだ。 3. 1. および2. の実験結果において共通する変動miRNAの絞り込みを行い、軟骨形質発現マーカー候補となる複数種のmiRNAのスクリーニングを完了した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞シートがエクソソーム中に積極的にパッケージングするmiRNAの中で、軟骨修復能の高い細胞シートのみに発現が認められるmiRNAを特定し、本年度計画していた軟骨形質マーカー候補となるmiRNAのスクリーニングを終了することが出来た。現在、リアルタイムPCRを用いた定量試験を実施しているところである。
|
今後の研究の推進方策 |
PCRによる定量試験を経て決定した、軟骨形質マーカーとして適したエクソソーム由来miRNAの機能解析を行う。軟骨細胞、もしくは軟骨方向へ分化誘導処理を施した幹細胞等に対し、同定したmiRNAのインヒビターを用いた機能阻害や、発現ベクターを用いた過剰発現誘導等の手法を施すことにより、遺伝子発現量の変化や、既存の硝子軟骨マーカーの遺伝子発現量との相関等を明らかにすることでターゲット遺伝子を同定し、細胞シートの軟骨修復機構との関連について解析する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
解析サンプル数が予定数よりも若干減少したこと、解析の外部委託が予定より安価に実施できたこと、学会旅費等が不要となったことにより、次年度使用額が生じた。繰り越した予算は、遺伝子阻害や導入実験のための試薬購入や試験外注、国内および国外学会発表、論文投稿のための費用に充当する。
|