研究課題
本研究の目的は、骨系統疾患(の原因遺伝子の同定と、その分子病態の解明である。骨系統疾患とは運動器を犯す遺伝子疾患(単一遺伝子病)の総称で、その多くは原因不明の希少疾患で、目下の所、有効な診断・治療法がない難病である。申請者らは、臨床・基礎の両面から、長らく骨系統疾患の研究に取り組んできた。本研究では、国内外の臨床の専門家と連携し、全エキソーム解析など次世代シーケンサーを駆使した大規模シーケンス解析を始めとするゲノム医科学的手法を駆使して、骨系統疾患の未知の原因遺伝子の同定を目指し、これまでに以下の成果を得た。1)異骨性骨硬化症の第二の原因遺伝子、TNFRSF11Aを世界で初めて発見した(Guo et al. J Hum Genet 2018)。TNFRSF11A遺伝子の両アレルの機能の喪失を起こす変異により破骨細胞の機能が低下し、異骨性骨硬化症を生じることがわかった(Xue et al. J Bone Miner Res 2019)。2)異常石灰化を伴う脊椎・骨幹端・骨端異形成症の新たな遺伝子変異を同定した(Urel-Demir et al. J Hum Genet 2018)。異常石灰化を伴う脊椎・骨幹端・骨端異形成症の表現型には、極めて多様であることがわかった。3)SPONASTRIME Dysplasiaの原因遺伝子、TONSLを世界で初めて発見した(Chang et al. Am J Hum Genet 2019)。4)異骨性骨硬化症の第三の原因遺伝子、CSF1Rを世界で初めて発見した(Guo et al. Am J Hum Genet 2019)。これら同定した原因遺伝子を出発点に、遺伝子レベルでの診断方法を確立し、一般臨床にも用いることができる遺伝子診断システムを作ることを目指したい。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
The American Journal of Human Genetics
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