I型筋強直性ジストロフィー(DM1)は、DMPK遺伝子の非翻訳領域に存在するCTGリピート配列が異常に伸長していることが原因で生じる。異常伸長したリピート配列を含む転写産物によってスプライシング異常が引き起こされ、骨格筋などに障害が起こる。本研究では、スプライシングをモニタリングできるレポーターを構築することで、DM1におけるスプライシング異常を回復する薬剤をスクリーニングできる系を確立した。まず、DM1患者由来iPS細胞を樹立した。次に、tet-on-MYODを導入してDoxycycline添加で骨格筋細胞へと分化可能なiPS細胞を作製した。このiPS細胞から分化誘導した骨格筋細胞ではスプライシング異常が起こっていることをPCRで確認できた。そこで、スプライシング異常をモニタリングするレポーターを導入し、分化誘導した骨格筋細胞でスプライシングの状態を判別できるようにした。このレポーターは、スプライシングを受けるミニジーン融合EGFPとIRES-mCherryをもち、発現するEGFPとmCherryの比をとることで転写量当たりのスプライシング異常を定量することができる。昨年度はレポーターの解析をフローサイトメーターや蛍光顕微鏡で行っていたが、本年度は96-well plateで誘導できるように骨格筋分化誘導法を改善し、イメージングサイトメーターでのハイスループットな解析を可能とした。
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