周術期アナフィラキシーの原因薬物同定法として好塩基球刺激試験(BAT)を確立する。 申請者は、BATはin vitroで施行可能なため従来の方法に比べ優れた点が多いと考えている。BATを実際にアナフィラキシーを起こした患者とアレルギー歴のない健常人とに施行し、診断ツールとしての有効性を確認すると共に、検査に用いる最適な抗体の組み合わせを見出し、検査法を標準化するための手掛かりとしたい。さらに、BATがどのような薬物に対して有効なのかも調べる。 申請者のグループでは平成24年度より周術期に発生したアナフィラキシーのデータベース化を進めており、これまでのところ約80症例が登録されている。これらのうち同意が得られた症例について、皮膚テストとBATを行う。また、アレルギー歴のない健常人ボランティア約30症例についても、皮膚テストとBATを行う。アナフィラキシー患者と健常人との結果を比較することでTG-ROC法によりBATの感度・特異度を原因薬物別に計算し、アナフィラキシーの診断ツールとしてのBATの有効性を確認する。 平成29年度は患者約20症例・ボランティア約20症例、平成30年度は患者約15症例について、皮膚テストとBATを行った。これらのうち、周術期アナフィラキシーの原因薬物として上位を占めたスガマデクスとセファゾリンについて、BATの有用性を論文で発表した。各アナフィラキシー患者に対するBATの診断精度は、スガマデクスで感度88%、特異度100%、セファゾリンで感度86%、特異度100%と共に良好であった。
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