研究課題/領域番号 |
17K16722
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
石橋 克彦 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20792964)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 小児麻酔 / 声門上器具 / 声門開大度 / 呼吸音 |
研究実績の概要 |
鼠径ヘルニアまたは停留精巣症例の全身麻酔下の小児を対象に、声門上気道確保器具(以下、声門上器具)挿入直後から抜去時まで声門の開通性の変化を内視鏡で連続的に観察・記録を施行している。全身麻酔中の麻酔深度の変化や麻薬併用の効果、筋弛緩とその回復などによる声門開通性変化の詳細を解明、さらに、内視鏡で測定される声門開通性が、呼吸音の周波数解析から求められる新たなパラメータで可視化できないか探索する目的で開始した。目標症例数は筋弛緩使用群10例、筋弛緩非使用群10例である。現在計21症例収集できている。筋弛緩使用群が7症例、筋弛緩非使用群が8例とれており、麻酔法などの要因で除外症例が6例ある。現在も症例を積み重ねており、平成30年、夏前には終了する予定である。 声門上器具で気道確保された全身麻酔下の小児において、気管支鏡を用いて、手術開始から覚醒時までの声帯の開大度、換気力学パラメータ、呼吸音周波数パラメータを持続的に測定し、麻酔深度、麻薬併用、筋弛緩レベルによる変化を時系列解析している。特にスガマデクス投与前後で声門狭窄が生ずるかどうか検証している。研究仮説は次のとおりである。全身麻酔中の小児の声門開大度(主要評価項目)は一定ではなく、麻酔深度の変化、麻薬、筋弛緩とその回復により時系列的に変化する(一次仮説)更に、スガマデクス投与後に声門は狭窄する(二次仮説)測定方法手術術野画像、声門部内視鏡画像、換気力学データや筋弛緩データを含む患者監視モニター画面、呼吸音周波数解析データ画面を同一画面上に分割表示させ、患者入室から退室まで連続録画をしている。更に呼吸回路内の音声も記録し周波数解析をすすめる予定でもある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、症例数は21症例を数え、プロトコールが順守されていれば目標症例数に達している数である。しかし、麻酔管理上の理由でプロトコールを逸脱してしまったものもあり、追加のデータ採取を行っている。研究をすすめるにあたって、研究機材のセッティングなどデータをとるにつれスムーズになりより効率的に進められるようになってきている。3年計画の研究デザインをしているが、このまま順調にいけば2年半経る前にデータ集は終了することが見込まれ、データ解析に移ることができると考える。また、それに伴って、学会での報告や論文執筆から掲載までも3年以内に終えることが期待できる。今後予期しないことが起こる可能性としては対象症例の枯渇や機材の故障などがあげられる。しかし、対象疾患は年間を通してコンスタントに手術に来るヘルニアと停留精巣であり、また、機材の故障については、現在使用してる研究用機材と同じものを購入構築する予定なので十分対応可能と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究データを収集するにあたって、複数パラメータを記録対象としている為、各パラメータの取りこぼしが無いように確実なデータの採取を行うことを基本的な方針とする。また、次のステップとしてはデータの解析を開始する。声門開大度を計測を適宜行っているが、測定タイミングによるばらつきが極力生じないように正確なデータ抽出を試みる。更には統計学的解析において、適切な統計手法を用いて解析を行う。 得られた結果は速やかに学術集会などで報告し、論文雑誌への掲載を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会などでの情報収集に旅費がかかり、研究用の記録機材のパーツなどの購入に研究費用がかかった。しかし、使用計画に入っていた気管支鏡の購入は昨年度は必要せず、次年度使用額が生じたと考えられる。次年度には更なる研究機材の購入や、海外学会での発表なども計画している。
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