研究課題/領域番号 |
17K16727
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
杉山 由紀 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (10468100)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 炎症 / コリン作動性抗炎症回路 / 脾臓 / 交感神経 |
研究実績の概要 |
交感神経系による免疫系の制御について、動物実験・臨床研究の双方において示され始めているが、その詳細なメカニズムについては明らかではない。また、交感神経・副交感神経活動の強さやバランスは、年齢・疾患により大きく異なるが、これらの影響が免疫系にどのような影響を及ぼしているかについてはほとんど知られていない。本研究では、手術や集中治療を必要とする重症疾患において、交感神経系が免疫系にどのような影響を及ぼすか、また年齢や疾患によってどのように変化するかを、まずはLPS腹膜炎モデルを用いて解析した。 10-14週齢のマウスに交感神経に特異的に取り込まれ、交感神経終末を破壊する6-hydroxydopamine (6-OHDA)を腹腔内投与して交感神経脱落マウスを作成した。また、PBSを腹腔内投与した野生型マウスを作成した。その後、これらのマウスにnon-lethal dose (0.5ug/g)のLPSを腹腔内投与し、6時間後、24時間後、2日後、4日後、7日後、と経時的に、血清や脾臓細胞を採取した。血清はELISA、脾臓細胞は、各種抗体にて標識を行いFlowcytometoryで解析した。脾臓細胞については、Real time PCR についての解析も加えた。この結果、交感神経脱落マウスと野生型マウスの間では、サイトカイン値や脾臓細胞の種類及び数に違いが生じた。 次に、48週齢以降の高齢マウスを用いて、同様の解析を行った。現在のところ、高齢マウスは個体差が激しく一定の傾向を見いだせてはいない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交感神経脱落マウスの作成及び脾臓についての解析は、おおむね終了した。その違いをもらたす原因物質の推定にはまだ至っていないことにより、agonist/antagonistを用いた実証実験には進んでいない。しかし、平成30年度以降に予定していた、比較的高齢マウスにおける検討を先に行う事が出来たため、全体の進捗状況としてはやや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
交感神経脱落による脾臓細胞の変化が、何に依存して生じるのかについての解明をすすめながら、高齢マウスによる実験を進めていく方針である。しかし、高齢マウスの個体差が激しい場合は、48週よりも少し若い36週や24週などで研究を進めるよう、研究計画を変更することを考慮する。
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