交感神経系による免疫系の制御について、動物実験・臨床研究の双方において示され始めているが、その詳細なメカニズムについては明らかではない。交感神経・副交感神経のバランスは年齢や疾患により大きく異なることが知られているが、これらの影響がどのように免疫系に関与するかは知られていない。本研究では、手術や集中治療を要する重症疾患において、交感神経系がどのような影響を及ぼすか、年齢や疾患によってどのように変化するかを検討している。 交感神経終末を破壊する6-hydroxydopamine(6-OHDA)を腹腔内投与して交感神経脱落マウスを作成し検討することとした。non-lethal doseのLPSを腹腔内投与し、経時的に血清を採取し、脾臓細胞の数と種類の変化についてflowcytometryを用いて検討した。高齢マウスの検討については、その飼育中に病気やケガなどで死亡してしまうことが多かった。マウスの数を確保するのが難しいのに加え、研究を開始すると、高齢になるほど個体差が激しいことがわかり、一定の見解を得ることが難しかった。交感神経系の関与をより広く検討するために、各種カテコラミン受容体の発現や機能の変化を検討できないか、文献ならびに染色条件、細胞内染色、real-time PCRによる発現量、特にβ2受容体の染色を検討したが、現在のところ条件、ならびに結果についても一定の見解は得られておらず、さらなる研究が必要である。
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