研究課題
2019年度は、2018年度に引き続き研究代表者が所属する施設において2008年以降に行われた麻酔科管理症例のデータベース化を行ない、周術期大規模データベースの構築については一部のデータを除き呼吸循環パラメータ、および手術患者のアウトカム(在院死亡、1年生存、在院日数)のデータベース化を完了した。呼吸循環パラメータデータベースの構築がおおむね完了した後、この大規模データベースを用いて術中の呼吸・循環変動が予後に及ぼ す影響を明らかにし、患者予後の改善につながる呼吸・循環管理指針の策定に寄与するような研究に着手している。予後に影響を及ぼし得る術中の呼吸・循環パラメータの候補として血圧、心拍数、呼気終末二酸化炭素濃度、気道内圧などを想定しており、現在データの整理と解析を行なっている。これと並行して、一部抽出に成功したデータに基づいて、全身麻酔における安全な呼吸管理戦略策定のための研究を行なった。本研究は、もやもや病患者の全身 麻酔中における分時換気量、血中二酸化炭素分圧等の呼吸関連パラメータを記述することを目的としたものである。もやもや病患者の全身麻酔において、安全な 呼吸管理戦略を提案する上で重要なデータを提供できると考えている。 抽出したデータから、成人においてはRadfordの予測式が正常二酸化炭素分圧を維持するために必要な分時換気量を過大評価することをしめし、小児においては術中の最適な分時換気量を予測する方法を開発した。上記研究を英語学術論文2報(Asian J Anesthesiol. 2019;2019:1-8)(Paediatr Anaesth. 2020;30:50-56)に報告した。
3: やや遅れている
患者情報システムからの大規模なデータ抽出は技術的に難しく、2018年度はこれを実行するための関係部署との調整に時間を要した。このために研究計画全体が大幅に遅れていたが、2019年度前半までにようやく呼吸循環パラメータ、および手術患者のアウトカム(在院死亡、1年生存、在院日数)のデータベース化がおおむね完了できた。この大規模データベースを用いて術中の呼吸・循環変動が予後に及ぼす影響を明らかにし、患者予後の改善につながる呼吸・循環管理指 針の策定に寄与するような研究に着手しており、現在データ解析中である。
呼吸循環パラメータ、および手術患者のアウトカム(在院死亡、1年生存、在院日数)のデータベース化は概ね完了し、また、研究者の所属部署内でも研究チームを組織し迅速な解析を行う体制ができたため、2019年度後半からは鋭意解析を進めている。 研究者らは術後の様々な合併症の中で急性腎障害に着目し、術後急性腎障害の発症と関連する呼吸循環変動を明らかにしていきたい。具体的には、慢性腎障害を 有する患者において急性腎障害発症を予防するためにはより高い血圧を維持する必要があるという仮説を検証する。
患者情報システムからの大規模なデータ抽出を実行するための関係部署との調整に時間を要したため、研究計画全体が大幅に遅れており、その関係で2019年度も次年度使用額が生じた。2019年度前半までにようやく呼吸循環パラメータ、および手術患者のアウトカム(在院死亡、1年生存、在院日数)のデータベース化がおおむね完了できた。この大規模データベースを用いて術中の呼吸・循環変動が予後に及ぼす影響を明らかにし、患者予後の改善につながる呼吸・循環管理指 針の策定に寄与するような研究に着手しており、現在データ解析中である。全体的に約1年研究計画が遅れているため、2020年度は当初2019年度に予定していたデータ解析、学会発表、論文執筆を行う予定で、これらに予算を使用する計画である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)
Acta Anaesthesiol Scand
巻: - ページ: -
10.1111/aas.13554
Paediatr Anaesth
巻: 30 ページ: 50-56
10.1111/pan.13764
Asian J Anesthesiol
巻: 2019 ページ: 1-8
10.6859/aja.201909_57(3).0005