研究実績の概要 |
集中治療の進歩により、敗血症の生命予後は徐々に改善してきた。しかし、集中治療室から生存退室患者における筋萎縮はしばしば経験され、さらにこれら筋力の低下 が患者の生活の質を大きく低下させることが知られている。社会の高齢化に伴い、敗血症による筋萎縮患者の増加が予測されるがその成因は明らかにされておらず、未だ積極的治療法は確立されていない。 そこで我々の研究グループではマウス由来筋芽細胞(C2C12)を用いた敗血症モデルを作成し、筋萎縮を増悪させる因子を同定し、その抑制方法を探索した。 結果、カテコラミンがIL-6,NF-κB,C/EBPδ,Atrogin-1経路を介してLPSによって誘導される筋萎縮を増悪させ、β遮断薬がその増悪を抑制することがわかった。現在さらに詳細な分子メカニズムの検討を行っている 本研究によって、敗血症時でのCU-AW発症機序の一端が明らかになるだけでなく、β遮断薬がその治療法となりうることを示すことができる。
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