研究課題
本研究の目的は、低体温療法の脳保護作用の分子基盤を明らかにするため、中枢神経系のグリア細胞であるミクログリアに発現する温度感受性分子を探索し、同定することである。これまでに申請者は、培養マウスミクログリア に温度依存性があることを発見し、その温度依存性の責任分子の候補について、温度感受性Transient Receptor Potential (TRP)チャネルのTRPM2, TRPM4およびTRPV4に絞りこみ、候補遺伝子のミクログリアの動きに対する寄与を検討するための薬理学的実験を計画した。特異的阻害剤のないTRPM4に関しては、CRISPER/Cas9システムを用いてTRPM4遺伝子欠損マウスを作製した。既存のTRPV4遺伝子欠損マウスを用い、2光子励起顕微鏡を用いたin vivo imagingにおいて、マウス大脳ミクログリア突起の動きに温度依存性があり、TRPV4遺伝子欠損ミクログリアではその温度依存性が消失した。ミクログリア本体の動きには影響がなかった。新型コロナ肺炎国内感染により、実験が困難となり、TRPM4遺伝子欠損マウスの解析は完結できなかったものの、マウスミクログリアの動きの温度依存性にTRPV4が関与する結果が得られたため、これらを論文として投稿し、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of Americaに採択された。
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Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻: 118 ページ: -
10.1073/pnas.2012894118
https://www.nips.ac.jp/release/2021/04/post_437.html
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id821.html