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2017 年度 実施状況報告書

悪性高熱症の新規原因遺伝子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 17K16733
研究機関広島大学

研究代表者

野田 祐子  広島大学, 病院(医), 医科診療医 (00790065)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード悪性高熱症 / リアノジン受容体 / ジヒドロピリジン受容体 / 次世代シークエンサー
研究実績の概要

悪性高熱症の原因遺伝子としてリアノジン受容体(RYR1)やジヒドロピリジン受容体(CACNA1S)が挙げられるが,悪性高熱症素因者のうちRYR1に遺伝子変異が見つかる症例は約70%程度(1)で,CACNA1Sに遺伝子変異が見つかる症例は約1%程度(2)である.残りの30%前後の症例では原因遺伝子は現状では分からないが,これまでに発表されていない新規の遺伝子がまだいくつかあり,発症に寄与していると思われる.
今回,悪性高熱症素因を持つ可能性の高い患者(悪性高熱症の発症者,家族,類縁疾患の患者)の血液等からDNAを抽出し,RYR1とCACNA1Sに変異を持つか次世代シークエンサーを用いてスクリーンングを行い,既知の変異を持たず,新規の遺伝子変異を持つ可能性が高いと思われるサンプルについてexome sequenceを施行し新規の遺伝子変異の探索を行った.
参考文献
1.Ibarra M CA. Malignant hyperthermia in Japan: mutation screening of the entire ryanodine receptor type 1 gene coding region by direct sequencing. Anesthesiology. 2006 Jun; 104(6):1146-54.
2.Stewart SL. Identification of the Arg1086His mutation in the alpha subunit of the voltage-dependent calcium channel (CACNA1S) in a North American family with malignant hyperthermia. Clin Genet. 2001 Mar; 59(3):178-84.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに,143サンプルについてDNAを抽出してスクリーニングを行い,RYR1とCACNA1Sに16種類の既知の変異(RYR1:T84M,Q155K,R163C,G341R,R533H,R614L,P1592L,V2280I,R2336H,S2345R,P2366R,R2508C,R2508H,L4838V,I4898T,CACNA1SR174W)や,17種類の新規の原因遺伝子の可能性のある変異(RYR1: D167G,E176D,R367Q,S604P,S2345T,I2358T,R2454G,R2625C,E3104K,N3913D,K4477N,A5025G,38990285_38990287delGGA,CACNA1S:D1382V,F1161L,S879P,A560T)を認めた.

今後の研究の推進方策

RYR1やCACNA1Sに認めた新規の原因遺伝子の可能性のある変異については,今後機能解析を行い原因遺伝子か否かの確認を行う予定としている.RYR1とCACNA1Sに悪性高熱症の原因遺伝子となりそうな変異を認めなかったサンプルについては,新規の原因遺伝子を持つ可能性が高いものをexome sequenceに提出し,新規の原因遺伝子の探索を試みる.7サンプル提出した現段階では,新規の原因遺伝子の特定には至っていないが,今後サンプルを追加でexome sequenceに提出して解析を行うことにより,原因遺伝子が特定できる可能性も高くなる.

次年度使用額が生じた理由

臨床業務が忙しくなり,本来実験に費やす時間が当初よりも削減されたため,その分だけ消耗品を購入しなかった.本年度は,実験に費やす時間をより多く確保するため,実験に使用する薬品や消耗品,機材を購入する予定である.
得られた成果を学会発表と論文報告する.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 帝王切開を脊髄くも膜下麻酔で2度行った血友病A確定保因者の麻酔管理2017

    • 著者名/発表者名
      野田祐子
    • 雑誌名

      麻酔と蘇生

      巻: 53 ページ: 55-58

    • 査読あり
  • [学会発表] 悪性高熱症の原因であるp.R2508Cを組み込んだリアノジン受容体の温度上昇による細胞内Ca動態は野生型と変わらない2017

    • 著者名/発表者名
      野田祐子
    • 学会等名
      日本麻酔科学会第64回学術集会
  • [学会発表] 30年前に悪性高熱症を診断され最近になってCACNA1Sに遺伝子変異が認められた1症例2017

    • 著者名/発表者名
      神﨑理英子 野田祐子
    • 学会等名
      日本臨床麻酔学会第37回大会
  • [学会発表] デブランチ胸部ステントグラフト内挿術後に生じた冠攣縮性狭心症の1例2017

    • 著者名/発表者名
      野田祐子
    • 学会等名
      日本心臓血管麻酔学会第22回学術大会

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公開日: 2018-12-17  

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