研究課題/領域番号 |
17K16735
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
笠井 飛鳥 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (90756892)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 吸入麻酔薬 / 心筋保護作用 / プレコンディショニング / ミトコンドリア機能 |
研究実績の概要 |
近年、ミトコンドリア機能の調節が心筋保護作用に関与していることが明らかになってきた。しかしながら、プレコンディショニング様心筋保護作用メカニズムの全容は明らかではなく、特に、ミトコンドリア機能が吸入麻酔薬の心筋保護作用に与える影響については未だ分かっていない。そこで本研究は、イソフルランの心筋保護作用に対し、ミトコンドリアダイナミクスが与える影響を明らかにすることで、プレコンディショニング経路の解明に寄与することを目的とした。 ラットの摘出心を潅流、得られた遊離心室筋細胞をディッシュに接着させた。通常培養液を「グルコースなし」のものに置き換え、特殊チャンバーを用い、1 時間低酸素状況(95%N2, 5%CO2) に暴露することで心室筋細胞に虚血状態をつくりだした。その後1 時間通常の培養状態に戻すことで再潅流状態とする。細胞をトリパンブルー染色することで死亡細胞と正常細胞を区別し、生存率を割り出した。吸入麻酔薬の前投与をおこなったAPC群は吸入麻酔薬イソフルランにて30 分間APC 刺激を与えることで作成した。生存率をAPC群と対照群とで比較検討することで、APC の心筋保護作用が明らかとなった。 引き続き、対照群・APC群の遊離単一心筋細胞を用いて実験を進めた。ミトコンドリアの酸素消費速度は細胞外フラックスアナライザーを用いて測定を行った。ミトコンドリア膜電位はJC-1 assayにて蛍光検出し、ミトコンドリア染色色素、光褪色後蛍光回復法を用いて各群のミトコンドリアダイナミクス(ミトコンドリアの分裂と融合)を明らかにした。また、ミトコンドリア内でATP合成に関与しているアコニターゼ活性の変化を明らかにした。さらに、膜透過性遷移孔アッセイを行った。 これらにより、APCによる心筋保護作用のミトコンドリアに与える影響が明らかにしてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した研究目的に対し、平成29年度の進捗度合いは同じであり、おおむね順調と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ミトコンドリア融合に関与するOpa-1の影響を明らかにするため、Opa-1 siRNAを電気穿孔法にて細胞に注入、トランスフェクションさせた細胞を用い、APC群の心筋保護作用が棄却するかを調べる。これらを行うことで、APC作用がミトコンドリアダイナミクスに与える影響がより明らかになる。
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