研究課題
末梢神経傷害後には脊髄でマイクログリア(MG)が活性化しているが、前角と後角におけるMGでは、その活性化の様式が異なると思われる。免疫組織化学による実験では、前角の活性化MGは神経を取り巻き、synaptic strippingと思われる現象が認められ、そのファゴゾーム内には神経シナプスのマーカーであるSynaptophysinが認められた。一方、後角における活性化MGは貪食マーカーであるCD68を発現しており、神経ではなくミエリンに接していた。そのファゴゾーム内にはミエリンのマーカーであるMyelin basic protein(MBP)が認められた。real time RT-PCRによる解析では、CD68の発現は前角よりも後角で有意に高かった。ミエリンマーカーは特に後角においては発現が減少する傾向にあったが、前角・後角ともに神経シナプスのマーカーには有意な変化を認めなかった。これらの結果から、前角における活性化MGよりも後角における活性化MGの方がより貪食性が高く、一方で、前角の活性化MGの働きには、神経保護的な要素が含まれる可能性があるのかもしれない。これらの研究内容は、日本神経麻酔集中治療学会およびNeuroscienceの国際学会で報告した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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