研究課題/領域番号 |
17K16737
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
立岩 浩規 高知大学, 医学部附属病院, 医員 (90614397)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 術後認知機能障害 / PGC-1α / rt-PCR |
研究実績の概要 |
今研究の目的は、運動によって誘導もしくは抑制される蛋白などの因子を術前に調整することで、術後認知機能障害(POCD;Post-operative Cognitive Dysfunction)を予防することが出来るかを検討することである。現時点でPOCD の有効な予防・治療法は確立されていないが、術前の運動が有用である可能性が示唆されている。しかし、POCD を発症するのは多くが高齢者であり、術前に運動介入することが困難であることも少なくない。そこで、術前に運動によって誘導される蛋白やmicroRNAを投与することで、運動と同等の効果をもたらし、POCD を予防することが出来るかを、高齢ラットを用いて検討することを目的としている。 今年度は、運動によって骨格筋などで誘導される転写コアクチベーターであるPGC-1α(Peroxisome proliferator-activated receptor-γco-activator-1α)とPOCDの関連を調べる予定であった。PGC-1αの上昇は、脳由来栄養因子であるBDNF(Brain-derived neurotrophic factor)を増加させ神経保護作用をもたらすと考えられる。 しかし、PGC-1αのrt-PCR法確立がプライマーなどの関係で予定よりも困難であったため、今年度は他研究室へ協力を要請し検証するにとどまった。また、国内および海外学術集会に参加し、POCDの最新の知見について情報収集し、他施設の研究やrt-PCR法について意見交換を行った。 結果、PGC-1αのrt-PCR法を確立することができたため、来年度、予定していた研究プロトコールを再開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
PGC-1αおよび炎症サイトカインについてrt-PCRを用いて評価する予定であったが、プライマーの調査に時間がかかったため、実験を開始することが遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に予定されていた高齢ラットを用いた、運動による脳内PGC-1αの変化について、ELISAおよび昨年度習得したrt-PCRを用いて評価を行う。さらに、脳内PGC-1αと術後認知機能評価をfear conditioning testを用いて行う。PGC-1αの上昇と術後認知機能保持との間に関係性が認められれば、薬剤的にPGC-1αを増加させ、それが術後認知機能との間にどのような影響をもたらすか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、予定されていたrt-PCRを確率するのに時間がかかり、実験を進めることができず予定されていた必要物品の購入に至らなかったため。
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