集中治療医学の向上によって多くの患者が集中治療室を生存退室することができるようになっている。しかし,退室後の身体能力の低下や認知機能障害などで大きく生活の質が低下し,高齢者が早期に社会復帰することを阻害している。身体能力低下を予防する取り組みとしてリハビリテーションの重要性が指摘されているがPICS患者での十分なエビデンスがない。身体能力低下の原因として侵襲による異化亢進に伴う筋萎縮も挙げられる。これを改善する方法として栄養管理がある。リハビリテーションについては,侵襲前の身体活動が認知機能障害を軽減する可能性について基礎研究を行った。その中で,適切な栄養管理とリハビリテーションを組み合わせることで,身体能力低下を最小限にし,早期の社会復帰を可能にするのではないかと関心を持つに至った。これまでに後方視研究を行い,集中治療室退室時のリハビリテーションの進捗度とタンパク投与量に関連がある可能性を明らかにした。そこで,本研究は,リハビリテーションと至適タンパク質投与量に焦点を当て検討を行うのが目的である。 敗血症モデルラットにおいて、豊富なタンパク質投与とリハビリテーションの組み合わせが筋萎縮を抑制し身体能力の低下を軽減するという仮説のもと、実験方法を立案し、研究グループ内にてカンファレンスを繰り返した。予備実験として3匹,標準的経腸栄養剤を1日にどれくらい摂取するかを観察し,負荷する蛋白質の量(濃度)を決定した。予備実験の結果を基に実験方法を修正した。
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