研究課題/領域番号 |
17K16740
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
五代 幸平 鹿児島大学, 附属病院, 特任助教 (20767488)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ヘム・オキシゲナーゼ / カルシウムチャネルα2δリガンド / 神経障害性疼痛 |
研究実績の概要 |
平成29年度にはC57BL6マウスを用いて神経障害性疼痛モデルを作成し、ヘム・オキシゲナーゼもしくはヘム・オキシゲナーゼから産生される一酸化炭素を誘導することで、神経障害性疼痛治療薬であるカルシウムチャネルα2δリガンドの鎮痛効果が増強した。逆に、ヘム・オキシゲナーゼを阻害するとカルシウムチャネルα2δリガンドの鎮痛効果が消失した。以上からヘム・オキシゲナーゼが神経障害性疼痛の治療において重要な役割を果たしていることが示唆された。本年度はヘム・オキシゲナーゼ阻害によるカルシウムチャネルα2δリガンドの鎮痛効果消失の機序について検討を行った。神経障害性疼痛モデルマウスにおいてヘム・オキシゲナーゼを阻害すると、脊髄後角におけるカルシウムチャネルα2δリガンド・プレガバリンによる炎症性ミクログリア(M1ミクログリア)から抗炎症性ミクログリア(M2ミクログリア)への誘導が抑制された。同時にプレガバリンによるアストロサイト不活性化も抑制された。同様にもう1種類のカルシウムチャネルα2δリガンドであるガバペンチンにおいても、ヘム・オキシゲナーゼを阻害すると、脊髄後角における炎症性ミクログリア(M1ミクログリア)およびアストロサイトの不活性化が抑制された。本結果からヘム・オキシゲナーゼは、カルシウムチャネルα2δリガンドによるグリア細胞(ミクログリアおよびアストロサイト)の不活化に関与していることが示唆された。以上の結果を国際疼痛学会機関誌の1つであるPain Reportsに発表した(Pain Rep. 2018; 3: e677)。次年度にはヘム・オキシゲナーゼによるカルシウムチャネルα2δリガンドの鎮痛効果修飾作用が、中枢性作用なのか末梢性作用なのかについてより詳細に検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
慢性疼痛である神経障害性疼痛において、ヘム・オキシゲナーゼは、カルシウムチャネルα2δリガンドによるグリア細胞(ミクログリアおよびアストロサイト)の不活化に関与していることを解明することが出来たためである。
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今後の研究の推進方策 |
ヘム・オキシゲナーゼは中枢神経と末梢神経のどちらにも発現している。今回神経障害性疼痛において、ヘム・オキシゲナーゼは、カルシウムチャネルα2δリガンドによるグリア細胞(ミクログリアおよびアストロサイト)の不活化に関与していることが判明したが、その作用部位は明らかではない。次年度にはヘム・オキシゲナーゼによるカルシウムチャネルα2δリガンドの鎮痛効果修飾作用が、中枢性作用なのか末梢性作用なのかについてより詳細に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成31年度に購入する試薬代金へ充当するため。
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