研究課題
本研究の目的は肺胞細胞における遠隔虚血プレコンディショニングのメカニズムにブラジキニンが関与していることを分子生物学的に解明することを目的とし、新たな肺保護の臨床応用を目指している。我々の研究室では、これまでに培養肺胞上皮細胞であるA549細胞を用いて、Toll-like receptor5(TLR5)の刺激や過酸化水素処理によりMAPキナーゼが活性化され、epidermal growth factor(EGF)受容体の1047番目のセリン残基(Ser1047)がリン酸化されることを明らかにした。さらに、TLR5刺激ではSer1047のリン酸化によりEGF受容体のエンドサイトーシスが起こることを報告した。またDNAマイクロアレイにより、A549細胞には、BK受容体が存在することを見いだした。四肢の短時間の虚血を数回行うという簡便な方法で、遠隔臓器の虚血侵襲に対する保護効果が得られるという遠隔虚血プレコンディショニングが報告された。心臓や腎臓での報告があるがその機序に関して不明な点が多い。ブラジキニンやアデノシンが心筋に対する虚血プレコンディショニング効果に関与していることは報告されている。ブラジキニン刺激による肺胞細胞の細胞内情報伝達系を解明し、機能維持に及ぼす影響を検討していく。今回の研究は肺胞細胞以外の多くの細胞においての細胞内シグナル伝達機構を解明する上でも有用な知見を提供するものである。
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Journal of Cardiothoracic and Vascular Anesthesia
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1053/j.jvca.2018.12.004.
THE JOURNAL OF JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
巻: 38 ページ: 393~396
10.2199/jjsca.38.393