研究実績の概要 |
本研究では、我々のこれまでの虚血性神経細胞死のメカニズム解析ならびにSAEに対するMPTPに伴うミトコンドリア機能不全の役割解析研究の結果を基盤として、SAEの脳障害発症機序の中心として活性酸素種を起因としたMPTPに伴う脳ミトコンドリア機能不全に焦点を置き、SAEの実態を活性酸素種(Reactive Oxygen Species:ROS)により活性化されるBcl family とMPTPを制御するミトコンドリアpeptidyl prolyl isomerase(Ppi)のCyclophilin Dを機軸とした情報伝達系の連関解析に展開することを目的としている。 前年度に引き続き,第6-8週齢の雄性WT C57BL/6マウス(WTマウス)およびCyclophilin D遺伝子欠損(Ppif-/-)マウスを用いて盲腸結紮穿孔法、Cecal ligation and puncture; CLP)による敗血症関連脳症モデル(SAEモデルマウス)の作成は安定して行えるようになった。 WTマウスとSAEモデルマウスの死亡率を比較したところ,SAEモデルマウスの死亡率が低い傾向が認められた。 モデル作製3,6,18時間後(各時間とも5匹の動物を使用)に大脳のサンプリングを行いmRNAと蛋白の抽出後、RT-PCRとwestern blot でBcl family(Bax,Bak,Bcl-2),TNFα,IL-6といったのサイトカインの発現を比較したが、有意な結果は得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
想定していたBcl family(Bax,Bak,Bcl-2),TNFα,IL-6といったのサイトカインの発現では有意な結果は得られなかった。 異なるサイトカインの発現や低下も検討していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
WTマウスとSAEモデルマウスの死亡率を比較したところ,SAEモデルマウスの死亡率が低い傾向が認められた。 モデル作製3,6,18時間後(各時間とも5匹の動物を使用)に大脳のサンプリングを行いmRNAと蛋白の抽出後、RT-PCRとwestern blot でBcl family(Bax,Bak,Bcl-2),TNFα,IL-6といったのサイトカインの発現を比較したが、有意な結果は得られなかった。さらに実験個体を増やしてcytochrome c,caspase3などのサイトカインの発現も比較していく予定である。 またSAEが、Bcl family-MPTP分子間相互作用を介したサイトカイン発現およびapoptosis/necrosis誘導に及ぼす影響とその役割を解析する。さらにミトコンドリア分画を抽出しMir05 bufferに加えてOROBOROS Oxygraph-2kを用いてミトコンドリアの呼吸鎖の機能を測定し,Cyclophilin Dの発現によってSAEが脳MPTP与える影響を解析する。さらにROS抑制作用のあるEdaravone (10 mg/kg i.p.)を投与し,Bcl family(Bax,Bak,Bcl-2等),TNFα,IL-6,cytochrome c,caspase3などのサイトカインの発現を比較する。また、apoptosis/necrosisと脳内Cyclophilin D発現の変動をCelestine blue and acid fuchsin染色、HE染色と免疫染色にて検討する予定である。
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