全身麻酔中に行う肺胞リクルートメント手技効果を評価を可能にするため、強制オシレーション法を用いた総合呼吸抵抗測定装置 MostGraph-01のヘッドに人工呼吸器との接続口を作成し、呼気相の呼吸抵抗の測定を可能にした。肺胞リクルートメント手技によって気道が拡張するため、5Hzにおける呼吸抵抗(R5)は低下すると考えた。 全身麻酔で経尿道的膀胱腫瘍切除術を施行された ASA分類1・2の患者を対象に前向き観察研究を行った。気道確保に声門上器具を用い、30分後に肺胞リクルートメント手技を30cmH2Oで10秒間実施した。手技の前後に MostGraph-01で呼吸抵抗を計測し、呼気相における R5の平均値を算出した。36症例を解析した結果、術前の R5は2.0(1.7-2.8)cmH2O/L/sec、術翌日の R5は 2.2(2.0-3.2)cmH2O/L/secであった。人工呼吸中の肺胞リクルートメント手技前後の R5は、手技前5.9(4.1- 7.5)cmH2O/L/sec [中央値(四分位範囲)] 、手技後5.4(4.0-6.9)cmH2O/L/secと有意に低下した。1回換気量は、手技前432(385-533)ml、手技後461(408-567)mlに有意に増加した。 人工呼吸中の肺胞リクルートメント手技が R5を低下させたことを確認した。肺胞リクルートメント手技による含気の増加で気道が拡張し、呼吸抵抗は低下したと考えられる。 産休・育休期間を含んだため、2年間の研究期間延長を行った。データの収集し結果をまとめ、論文掲載されたため、研究を完了した。
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